アルピナかMか? 「B5」の格別フィーリングと「M5」の過激さの絶妙な棲み分け

落ち着きのあるルックスに類い稀なパフォーマンス、そして高級サルーンに匹敵する快適性を備えた「知る人ぞ知る」アルピナ。その最新モデルが、マイナーチェンジされたBMW「5シリーズ」がベースの、新型アルピナ「B5」。今回はそのB5に試乗して、アルピナの真価を体感した。

現行型Mスポーツをベースにした新型アルピナ B5

Writer:西川淳(NISHIKAWA Jun)
Photographer:柳田由人(YANAGIDA Yoshito)

 実に悩ましい高性能5シリーズのそろい踏みである。まずは本家スタンダードシリーズのマイナーチェンジを受け、ほとんど同時にデビューしたBMWアルピナ「B5」。

 前期モデルの「B5ビターボ」が大人しい“ラグジュアリー”ベースのエクステリアだったの対して、その名もシンプルにB5と改めた後期モデルは勇ましい”Mスポーツ“ベースに。個人的にはそう尖ってくれなくてもいいのに、と思いはしたものの、これが2代目ボーフェンジーペンへとバトンタッチされた最新アルピナの志向というものだろう。

 5シリーズに搭載されるN63型4.4リッターV型8気筒ツインターボエンジンがベースながら、その最高出力はついにノーマルの「M5」を超えて621psに達した。最大トルクに至っては800Nmである。N63ベースであることをフルに活用した結果だろう。

ラグジュアリーで落ち着きのあるB5は、過激さの強いM5とは印象が大きく異なる。またM5には非装備のサンルーフも、アルピナでは5シリーズ同様装備されている(C)柳田由人
ラグジュアリーで落ち着きのあるB5は、過激さの強いM5とは印象が大きく異なる。またM5には非装備のサンルーフも、アルピナでは5シリーズ同様装備されている(C)柳田由人

 悩ましき相手はもちろん本家のM5だ。M専用エンジンS63を搭載する。ベースモデルで最高出力600ps、最大トルク750Nmというから、新型B5のスペックにはやや劣る。ところが相手が「M5コンペティション」となると、話は変わる。最大トルクこそ750Nmと負けたままだが、最高出力は625psとわずかに4ps、アルピナB5を上まわるのだ。

 そして肝心の車両本体価格はというと、M5コンペティションの1900万円に対してB5はわずかに2万円マイナスの1898万円。ノーマルのM5に比べれば、84万円高い設定だ。

 なんとも絶妙なパフォーマンスとプライスの設定ではないか。ましてやアルピナB5のエクステリアには獰猛さが増している。見ようによってはM5より派手。そこまで意識すると、車名をシンプルにB5としたあたりにもMへの尊敬と対抗心の両方が見て取れる。

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