900万円オーバー! 復活したスカイライン「GT-R」第2世代のR33型は爆上げ中

日産が長年作り続けてきた「スカイライン」のなかでも、特別な存在であった「GT-R」は、一度その歴史の火が消えたことがあった。R32型で復活した第2世代GT-Rの3モデルなかで、これまでもっとも人気がなかったR33型だが、いま再評価されつつあるようだ。

スカイラインR33型GT-Rが再評価中

 第2世代の「スカイラインGT-R」とは、2.6リッター直列6気筒ツインターボのRB26DETT型エンジンを搭載し、前後輪へのトルク配分を最適に調整するアテーサE-TSシステムを搭載した、R32/R33/R34という3世代のモデルのことを指す。

 ちなみに、第1世代のGT-Rとは、S20型直列6気筒2リッターエンジンを搭載した、PGC/KPGC10型とKPGC110型、つまりハコスカ、ケンメリGT-Rのことを指し、通常第3世代GT-Rは現行型を指す。

●1996 日産「スカイラインR33 GT-R V-Spec LM Limited」

北米の「25年ルール」が適用されはじめたこともあり、R33型「スカイラインGT-R」は、今後ますます高額になっていくことが予想される(C)Silverstone Auctions Limited 2021
北米の「25年ルール」が適用されはじめたこともあり、R33型「スカイラインGT-R」は、今後ますます高額になっていくことが予想される(C)Silverstone Auctions Limited 2021

 そんな第2世代GT-Rのなかで、2代目のモデルとなる「R33 GT−R」はデビュー当初、R32型と比べて10cm程度長くなったホイールベースや、標準車で比べた場合に100kg程度重くなった車重などから、あまり高い評価を得ることはなかった。

 R33 GT-Rが販売されていたのは、1995年から1998年という期間。R32型の1989年から1994年と比べると明らかに短い販売期間だ。環境問題への対応が難しいという理由から、2002年に生産終了となったR34型とほぼ同じ期間しかつくられなかったというところからも、当時のR33に対する評価がわかる。

 とはいっても、GT-RはGT-Rである。走りのレベルは非常に高く、一般道でその実力をフルに発揮することは、ほぼ不可能だ。その上で居住性ははっきりとR32型よりもよくなっているため、後世、R33 GT-Rはグランドツーリングカーとして高く評価されるようになる。

 そのR33 GT-Rには、標準車以外に派生型といっていいモデルが多数存在する。アクティブLSDを装備し、アテーサE-TSをアテーサE-TSプロに換装して専用サスペンションも備える「Vスペック」や、カーボン製のエアロパーツやメタルタービンなどを装備したレース参戦用のベースモデルである「VスペックN1」、ル・マン24時間レース参戦記念モデルとして期間限定で販売された「LMリミテッド」、スカイラインの40周年記念モデルとしてつくられた4ドアセダンの「オーテックバージョン40thアニバーサリー」、ニスモが開発したコンプリートカーの「400R」など、それぞれに個性あふれるものとなっている。

 そんなR33 GT-Rが、シルバーストーンオークションに登場した。今回紹介するのは、R33 GT-RのLMリミテッドである。

 LMリミテッドは、標準車ベースが86台、Vスペックをベースとしたものは102台生産された。この個体はその102台生産されたVスペックベースのうちの1台だ。

 ボディカラーは、LMリミテッドのみに設定された、チャンピオンシップ・ブルー。記念デカールやカーボン製のリアウイングスポイラーなどが装備されていて、フロントバンパーにはN1ダクトもセットされている。

 走行距離は5万1000kmあまりと年式から考えると少ないほうだが、個体としての状態は、グッドコンディションとはいい難い。エンジンルームのパイプ類は荒れているし、インテリアでは、とくにステアリングのヤレがひどく使用感が強い。

 しかし、英国で登録された「GTR99M」というナンバープレートは、これはこれで価値が高い。しかも、近年中古車市場価格がうなぎ登りの第2世代GT-Rである。こうした部分も評価されてか、落札価格は6万750ポンド(邦貨換算約936万円)であった。

 この個体は、2016年に日本から英国へと輸出されたヒストリーを持っているが、コレクターからすれば手を出しにくい状態なのかもしれない。しかし、整備やレストアすることも楽しみたい数奇者にとっては、ちょうどいいベース車ということにもなりそうだ。

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