約27億円の競演! ブガッティがニュルブルクリンクで全開走行テストをする理由とは

ブガッティがニュルブルクリンクのノルドシュライフェで全開のガチテスト走行をおこなった。シリーズモデルのみならず、フューオフの限定モデルまでも世界一過酷なサーキットでテストするのはどうしてだろうか。

特別なブガッティ、最新の4台がニュルブルクリンクにそろい踏み!

 フランスのみならず、全世界を代表する最高級ブランドのブガッティは、「ハイパー」スポーツカーというジャンルの象徴としても知られる。ブガッティから生み出されるすべてのモデルはデイリーユーズに供するだけにとどまらず、サーキットなどのエクストリームな走行条件にあっても、格別の品質基準を満たすことが当然のごとく求められる。

 その条件をハイレベルで満たすために、ブガッティは現在のカタログモデルと将来のシリーズ生産モデルである車両を、さまざまなテストトラックやサーキットで定期的にテストしているという。

 とくに世界一厳しいテストトラックとして知られるニュルブルクリンク北コースでは、ブガッティ・オートモビル開発チームが年に1度のペースで最新モデルを持ち込み、ハードなテスト走行をおこなうのが慣例となっているという。2021年は、4台のアイコニックな最新ブガッティと6人のエンジニアが、ニュルブルクリンクに降臨することになったようだ。

●限定モデルにも量産モデルと同様の厳しい試練が課される

4台のブガッティの総額は、26億6000万円オーバー。「チェントディエチ」(左手前)、「シロン スーパースポール300+」(右手前)、「シロン ピュールスポール」(左奥)、「ディーヴォ」(右奥)
4台のブガッティの総額は、26億6000万円オーバー。「チェントディエチ」(左手前)、「シロン スーパースポール300+」(右手前)、「シロン ピュールスポール」(左奥)、「ディーヴォ」(右奥)

 これは、世界でもっともエクスクルーシブなフリート(艦隊)というべきだろう。

 開祖エットレによるブガッティ社創業110周年を記念し、1990年代ブガッティの名作「EB110」へのオマージュもささげる「チェントディエチ(Centodieci=110)」は800万ユーロ(約10億6600万円)で世界限定10台のみ生産。

 往年の名レーサーの名を冠したハンドリング志向の「ディーヴォ(Divo)」は500万ユーロ(約6億6600万円)で限定40台。

 シロンのスポーツ性をさらに特化した「シロン ピュールスポール(Chiron Pur Sport)」は、300万ユーロ(約4億円)で限定60台。

 そして300mph(約480km/h)超えのスピード記録達成記念に30台が限定生産される「シロン スーパースポール300+(Chiron Super Sport 300+)」には、350万ユーロ(約4億6700万円)のプライスが掲げられる。

 つまり、単純計算で実に2000万ユーロ(約26億6600万円)もの価値を持つブガッティ限定モデルたちが、「ノルドシュライフェ(Nordschleife)」ことニュルブルクリンク北コースに轡(くつわ)を並べることになったのだ。

 この壮大なテスト走行の目的について「お客様に可能な限り最高のシャシセットアップを実現するために、極端なコンディションのもとでも、あるいは日々の使用状況でもテストドライブを実行しています」と、ブガッティ社シャシテストおよびセットアップの責任者であるラーズ・フィッシャー氏は述べている。

 そしてブガッティのエンジニアたちは、「シロン」のようなシリーズ生産モデルだけでなく、「チェントディエチ」のようなわずか10台限定の超少数製作モデルであっても。すべての状況で非常に正確、迅速かつ完全に作動することをシビアに要求している。

 ノルドシュライフェは33か所の左コーナーと40か所の右コーナー、17%の勾配、300mの高度差の理想的なテスト環境を備えた世界でもっとも要求の厳しいサーキットのひとつだ。

 このサーキットをハイスピードで、しかも安楽にラップをこなす車両は、完全にセットアップされていなければならない。高速テスト中であっても、エンジニアは車両の全体的な印象に注意を払うとともに、「シロン ファミリー」に相応しいパフォーマンスの範囲内で完全な差別化を提供することを保証するとのこと。

 さらに、このテストドライブに続いて結果を分析したうえ、開発チームに送信・共有することによって、開発の手順をさらに最適化することも目指しているとのこと。

 このテストの直後に配信されたプレスリリースにて、ブガッティのシャシ開発責任者、ヤヒン・シュワルブ氏は以下のように説明している。

「私たちは、量産モデルであるシロンと同じレベルの開発とテストを、チェントディエチのような限定モデルにも求めます」

 つまり、テストベンチや試験場での広範なシミュレーションと集中的なテストのあとにサーキットや公道でテストドライブを実行することで、コーナーワークでの処理特性やハンドリング特性をさらに最適化するということなのだ。

 一方、シロン スーパースポール300+の場合、開発エンジニアはその数週間前に確定したばかりのシャシのセットアップを、ノルドシュライフェで確認する。縦方向のダイナミクス、つまりストレートスピード指向でデザインされたロングテールを持つハイパースポーツカーは、主に440km/hを超える最高速度のために開発されたものである。

「シロン スーパースポール300+は、最高速度を追求したモデルですが、たとえノルドシュライフェのようなタイトなコースであっても、きわめて高性能なドライブを提供する必要があります」とは、シュワルブ技師のコメントである。

 彼ら開発エンジニアたちは、すでにモールスハイムの「アトリエ」にてシリーズ製作に入っているディーヴォとシロン ピュールスポールのモデルのさまざまな特性やハンドリングを、これから製作が本格化するチェントディエチおよびシロン スーパースポール300+のベンチマークとして位置づけ、ブガッティの幅広い「パフォーマンスのスペクトル」を直接体験して比較することができるようにするとのこと。

 それは、世界最高のハイパーカーが一朝一夕に生み出されるものではなく、不断の努力の産物であることを、ブガッティ技術陣が誰よりも理解している証なのであろう。

【画像】ブガッティ4台がニュルブルクリンクでガチテスト!(19枚)

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