「タント」テコ入れが軽2位下落のダイハツを救う!? 首位奪還のスズキと差が付いた訳

軽自動車の新車販売トップはダイハツが守り続けていましたが、2021年はスズキが奪還しそうな勢いです。ダイハツの販売が低下したことが原因ですが、タントをはじめとした主力車種はどのような状況なのでしょうか。

ダイハツが以前よりも販売台数を減らしている理由とは?

 軽自動車の新車販売台数を振り返ると、1973年から2006年まではスズキが一貫して1位でしたが2007年にはダイハツが1位になり、スズキは2位に下がっています。

 この後はスズキが1位に返り咲いた2014年を除くと、ダイハツが軽自動車の販売1位を守り続けていました。

ダイハツ「タント」がピンチ!?
ダイハツ「タント」がピンチ!?

 ところが直近の2021年1月から4月の販売累計を見ると順位が逆転。ダイハツは21万638台でスズキは21万2340台と、わずか1702台の差ですがスズキの届け出台数がダイハツを上まわったのです。

 同じような状況は、昨年(2020年)も起こっていました。1月から3月までの累計販売台数はスズキが多く、4月以降はダイハツが抜き返したもののなかなか差が開かず、9月までの累計でスズキが再び1位になりました。

 2020年12月までの暦年では最終的にダイハツが1位になりましたが、スズキとの差は1万2688台。1か月平均でいうと1000台程度の違いなので、ちょっとした売れ行きの差で逆転するでしょう。

 このようなダイハツとスズキの拮抗状態が今も続いています。

 2021年1月から4月の販売累計に話を戻すと、軽乗用車ではスズキのリードがとくに大きく、スズキは16万7201台、ダイハツは15万7850台なので1万台近い差が生じました。

 逆に軽商用車はスズキが4万5139台、ダイハツは5万2788台なのでダイハツが7649台多いのですが、軽乗用車・軽商用車のトータルで見ると僅差でスズキが上まわります。

 スズキは軽乗用車の販売が多く、ダイハツは軽商用車が多いという図式は2020年と同様で、同年の軽乗用車販売は、スズキが40万3480台、ダイハツは39万4893台。軽商用車はスズキが12万124台で、ダイハツは14万1399台でした。

 最近の両社の販売動向から考えると、2021年1月から4月の販売累計でスズキがダイハツを上まわった理由は軽乗用車の売れ行きにあるといえそうです。

 2020年1月から4月はコロナ禍の最中で、新車販売の動向が通常とは違っていたので、いまから2年前の2019年1月から4月の軽乗用車販売と現在を比べてみましょう。

 スズキの2019年1月から4月は16万9382台なので、2021年同期の16万7201台と大差はありません。

 ところがダイハツは、2019年1月から4月には軽乗用車を17万4764台販売しましたが、2021年同期は15万7850台と2年前に比べて10%減りました。

 ダイハツの軽乗用車に何が起こっているのでしょうか。

 ダイハツの軽乗用各車の売れ行きを2019年1月から4月と2021年同期で比べると、ある傾向が見られます。

 もっとも減少が大きいのは「ミライース」「ミラトコット」で、2019年は3万9237台を販売しましたが、2021年は2万6040台です。4か月間で1万3000台以上、1か月平均でも約3300台減りました。

「ムーヴ/ムーヴキャンバス」も、2019年は4万8750台、2021年は4万1350台だから7400台少ないです。

 そして問題はダイハツの最多販売車種になる「タント」です。2019年1月から4月は5万8439台で、2021年の同期は5万2207台と6000台以上減りました。

 タントが問題視される理由は、2019年7月に発売された現行モデルにあるといえるでしょう。

 2019年1月から4月は現行モデルへのフルモデルチェンジを目前に控えて先代モデルを売っていました。

 先代モデルのモデル末期と現行モデルを比べれば、後者が売れ行きを伸ばして当然ですが、実際は6000台以上も少なく、現行モデルになってから人気を落としているのです。

 現行タントの不調は発売直後から指摘されており、2019年12月には早くも特別仕様車「セレクションシリーズ」を追加。

「Xセレクション」はベースの「X」に実用装備をプラスして、価格はXと同額に抑えたお買い得なモデルですが、モデル末期に設定するような格安の特別仕様車をフルモデルチェンジから5か月後に投入する異例の展開といえます。

 それでもタントは売れ行きを伸ばせず、2020年6月には標準装着される装備を省いて価格を下げる特別仕様車まで用意しました。

 一般的に装備の原価は、我々ユーザーが考えるよりも大幅に安いです。従って装備を割安に加えることは可能ですが、標準装着品を取り去っても価格はあまり下げられません。あえてそれをするほどタントの販売不振は深刻なのです。

※ ※ ※

 ほかのダイハツ車では、「キャスト」も販売台数が約1万台減り、もともと台数は少ないですが「ウェイク」なども下がりました。

 2020年に発売された「タフト」は、2021年1月から4月の2万2631台が上乗せされましたが、ダイハツの軽乗用車販売をトータルで見ると約1万7000台減っています。

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7件のコメント

  1. タフトユーザですが後部座席のシートアレンジ有りやスライドドアだったら購入しなかったと思います。シンプルだけど乗り心地が良いので購入しました。ファミリーカーとして快適な車なら5ナンバーや3ナンバーを選ぶでしょう。納車して半年経ちますが後部座席に人を乗せた事はありません。

    • 実際に売れてないんだから、どこかがニーズにマッチしてないってこと。
      記事の内容に反論したいなら「私は〜」「私が〜」じゃなくて、どこがニーズにマッチしてないかってところについて書くべき。

  2. >従って装備を割安に加えることは可能ですが、
    割安の装備に変更することは可能ですが ?
    割安の装備を追加することは可能ですが ?
    装備を割安の部品に変えることは可能ですが ?

    もしこの文章が正しくなければ、想像を深めて書き手は何が言いたいのかを読み手が
    懸命に考える記事になるのでしょうか

  3. ライバルにないMT車の設定もありかと思います。

  4. 懸命に考えないでしょ。。。装備は安いから、色々付ける事でお得感を出しやすいが原価はあまり変わらない、ってだけ。

  5. L375sに乗ってますが、現行タントには全く購買意欲がわきません。デザインがイケてないからN-BOXかスペーシアの購入検討中。
    あと一番ダメなのがスマアシの性能の低さ、日本メーカーで1番使えない予防安全と運転支援、10年前のトヨタの車より性能が低い。

  6. そのうち、ユーザーの好みに合わせて
    メッキグリルをギンギラギンに煌めかせた姿に変わるのでしょうか。
    「ミニ・アルファード」みたいな姿に。

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