可愛くてカッコいい! いまこそ乗りたい「クラシックミニ」の変わらぬ魅力とは?【中古車至難】

歴史的な大衆車といえばフォルクスワーゲン「タイプI」やフィアット「ヌォーヴァ 500(チンクエチェント)」といった小型車などがある。そのなかでももっとも有名なのが、クラシック「ミニ」だ。当時としては実現困難だった高度な技術をふんだんに採用して誕生した。このクルマが41年もの間、世界各国で愛されてきた理由は一体どこにあるだろうか。

ちっちゃくて安価、それでも立派な実用車

 純エンジン車が公道を走れなくなる前に──というのはいささか気が早すぎると思うが、実際問題として、筆者のような中高年の身体がうまく動かなくなる前に乗っておきたいクルマ……というのはいくつかあるものだ。

 筆者にとってその筆頭格のひとつがクラシックミニ、というか「元祖ミニ」である。

 賢明なるVAGUE読者諸兄には今さら過剰な説明は不要と思われる、世界的名作だ。

 1956年のスエズ動乱をきっかけとする石油価格の超絶高騰を受け、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が掲げた「人々には粗末なバブルカー(2人から3人乗りのマイクロカー)ではなく、ちゃんとした大衆実用車に乗ってもらいたい」との崇高な理念に基づき、アレック・イシゴニス率いるチームが開発した革命的小型FF車。それが、今日では「クラシックミニ」と呼ばれることが多い、BMW製ではないほうのミニである。

誕生した当初はオースティンブランドとモーリスブランドで販売されていたが、開発元であるイギリスの自動車連合であるBMCが国営化され、ブリティッシュ・レイランドグループとなったことに合わせ、最終モデルまでローバーブランドで販売されていた(C)BMW AG
誕生した当初はオースティンブランドとモーリスブランドで販売されていたが、開発元であるイギリスの自動車連合であるBMCが国営化され、ブリティッシュ・レイランドグループとなったことに合わせ、最終モデルまでローバーブランドで販売されていた(C)BMW AG

 あくまで英国および欧州の大衆が日常的に、そして実用的に使うことを主眼に開発された元祖ミニではあるが、その車体の動きは「青春」そのものだ。俊敏で、快活で、躍動的。そんな「若者の肉体」から生まれるムーブまたはフィールとほぼ同じものを、元祖ミニのドライバーは味わうことができる。

 だからこそ元祖ミニは──もちろんその類まれなるデザインの良さもあってだが──2021年の今日も「名車」として世界中のカーガイから愛されているのだ。

 とはいえミニはきわめて小さなクルマであり、また小さなクルマであるがゆえにノイズとバイブレーションおよびハーシュネス(車体が凸凹を通過する際の衝撃と振動)は相当なモノだ。

 それゆえ、年をとってくると──もちろん70歳になっても75歳になっても運転できなくはないだろうが、ミニを積極的に「ぜひ運転したい」とは思えなくなってくるはず。単純にきわめて小さなクルマに「よっこいしょ」といいながら身体を折り曲げつつ乗り込むのはキツイだろう。

 だからこそ、まだある程度元気なうちに、身体がまあまあ動くうちに、そしてけっこう暑苦しいビートとオーラを発するクラシックミニというクルマに対抗できるだけの「元気」があるうちに、それに乗っておきたいのである。

 筆者は今50代の前半ゆえ、今のところミニが持つ潜在的なパワーに対抗できるだけの元気および身体機能を有しているとは思っている。だが10年後は、ハッキリいって自信がない。乗るなら……たぶん「今」なのだ。

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