MT車を選ぶ人は少数派? でもトヨタやマツダには多し! 各社がMT車を設定する理由

現在販売されている多くの新型車ではほとんどのモデルがAT車です。しかし、MT車を設定するモデルも少なくはありません。なぜ多くの販売を見込めないMT車を設定しているのでしょうか。

MT派は少ない? それでもMT車の未来は暗くない?

 近年では、日本の新車市場ではAT車の販売比率は98%以上といわれ、2ペダルで運転できるAT車が占めているといいます。

 一方で、新型車にMT車を設定する例も少なからず存在しています。では、昨今の事情のなかでどのようなモデルにMT車が設定されているのでしょうか。

トヨタが2021年秋に発売を予定している新型「GR86」にも6速MTが設定されている!
トヨタが2021年秋に発売を予定している新型「GR86」にも6速MTが設定されている!

 最近のAT車は、昔からの「トルクコンバーター式」、国産車に多く搭載される「CVT」、輸入車などに使われる「DCT」と仕組みが異なるものの、ドライバーがクラッチやシフトの操作をしないことは共通しています。

 MT車では、1速、2速と自らの手や足を使ってシフトチェンジをおこない、慣れない場合にはエンストやスムーズな運転が難しいものです。

 そのため、慣れないと煩わしい操作性やAT技術の進化により、自動車メーカーは限られたモデルにMT車を絞るなどしており、車種は減少していました。

 一方で国産メーカーの乗用車において、MT車のラインナップが多いといえるのはマツダとスズキが挙げられます。

 マツダでは、コンパクトカーの「マツダ2」から「マツダ3(セダン)」「マツダ6(セダン/ワゴン)」、SUVの「CX-3」「CX-30」「CX-5」、そしてスポーツカーの「ロードスター」に6速MTを採用しています。

 多くのラインナップにMT車を設定する理由を以前にマツダは次のように述べていました。

「マツダは、第一に『走る歓び』を大切にしています。走りが好きな人の多くに、MT車を好きな割合が高いことからそのようなニーズにも対応したいと、グローバルで展開するモデルには基本的に設定しています。

 MT車を設定する背景には、経済性を考慮したエントリーモデルに設定することが多いですが、マツダではディーゼル車や上級モデルなど経済性だけではないモデルにも採用しています」

 一方でスズキの国内ラインナップでは軽自動車の「アルト」「アルトワークス」「ワゴンR」「ジムニー」、普通車の「ジムニーシエラ」「スイフト」に5速MTを設定。「スイフトスポーツ」には唯一6速MTが採用されています。

 以前にスズキではMT車のラインナップについて次のように説明していました。

「標準モデルやスポーツモデル、SUVなど多くのタイプにMT仕様を設定しています。

 具体的に、ジムニー/ジムニーシエラ、スイフト、アルト、ワゴンRなどです。車種毎に設定背景は違いますが、多くの理由として『お客さまの希望が多い』という点があります」

※ ※ ※

 このように、メーカーとしての方向性やそれぞれの車種によるニーズによって設定されているようです。

 また、近年では「ブレーキホールド機能」や「エンスト防止機能」など、これまでMT車に乗るうえで懸念点だった坂道発進や発進時のエンストにおける不安要素が解消されつつあるなど、MT車に対する印象も変わりつつあるといえます。

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