開放感は要らない? キャンバストップやガラスルーフなぜ廃れたのか? 理由は流行以外にも
ドライブ時に開放的な気分を味わえるクルマのキャンバストップやガラスルーフは、かつてほど見られなくなり、設定される車種も減少。背景には流行の移り変わりをはじめ、多様な要素があるようです。
オープンな気分になれるキャンバストップやガラスルーフ
コロナ禍で自宅にいる時間が長引くと、外出が貴重なひとときに思えてきます。クルマを使った移動なら、他人と接触する機会を大幅に減らせるため、安心感も高まります。
そして貴重な外出であれば、開放感も満喫したくなります。オープン感覚で運転できるクルマであれば、外出する楽しさもさらに際立つでしょう。
オープン感覚を味わえるクルマとして、最も分かりやすいのはコンバーチブルです。キャンバストップの形状などに応じて、カブリオレ、ロードスター、スパイダーといった名称もあります。近年では電動開閉式のハードトップも登場しています。このほかガラスルーフもあり、開放感のあるクルマも多様化しています。
しかし最近の傾向として、オープンドライブを楽しめる車種が減ってきました。特に日本車で絶滅したのはキャンバストップです。
かつてはマツダの「フェスティバ」や「デミオ」、日産の「Be-1」や「パオ」、スズキ「アルトラパン」、トヨタ「WiLL Vi」、三菱「ミニカ」など、比較的コンパクトな車種を中心にキャンバストップが数多く採用されていました。
ボディ側面のピラー(柱)やウインドーはハッチバックボディと同じ形状ですが、ルーフの部分は幌製で、電動や手動で開閉できます。居住性や積載性といった実用性を損なわずに、オープンドライブの爽快感を味わえることが魅力でした。
キャンパストップは価格も割安でした。例えばフェスティバの場合、約10万円の価格アップでキャンバストップが装着できました。日産のZ34型6代目「フェアレディZ」のコンバーチブルは、クローズドボディに比べて約60万円高かったため、キャンバストップは軽自動車やコンパクトカーで幅広く普及しました。
またガラスルーフも、かつては採用車種が豊富でした。例えば1986(昭和61)年に発売されたワンボックスワゴンの2代目三菱「デリカスターワゴン」には、ガラスルーフのクリスタルライトルーフが装着されています。この後もホンダ「エアウェイブ」、日産「ラフェスタ」、トヨタ「プリウスα」などが採用しました。遮音性は通常のスチールルーフと同等なので、開放感と快適性を両立させました。
それが今では、ダイハツ「タフト」のスカイフィールトップ、トヨタ「ハリアー」の調光パノラマルーフ、トヨタ「RAV4」のパノラマムーンルーフ程度になっています。
以上のようにオープンモデルやガラスルーフが減った理由をトヨタの販売店に尋ねると、次のように返答されました。
「以前はプリウスαなどのガラスルーフ、あるいは幅広い車種に設定されるサンルーフを希望するお客さまが多かったのですが、最近は減っています。クルマの装備にも流行があり、今はお客さまの関心が安全装備や運転支援機能に移っているのでしょう。
また以前は喫煙するお客さまが、換気しやすいチルト機能付きの電動サンルーフを好みましたが、最近は喫煙者自体減っているのもニーズが減少した一因でしょう」
エアウェイブは、三菱ではなくホンダです。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。