8000万円超の「EV救急車」導入から1年 デイタイム救急隊で活躍する稼働現状はいかに
2020年5月から稼働開始となった日本初のEV救急車。東京消防庁が日産から約8000万円で購入したことが話題となりましたが、約1年経った現在ではどのような状況なのでしょうか。
日本初! 8000万円超のEV救急車とはどのようなクルマ?
2020年3月31日、東京消防庁は日本初の「EV救急車」を導入したことをSNS上で公表しました。
その後、同年5月18日にEV救急車を東京消防庁に納入した日産は、「東京消防庁池袋消防署へ納車した日本初のゼロ・エミッション(EV)救急車が稼働を開始した」と発表しています。
稼働から約1年経った現在までにどのような動きがあったのでしょうか。
従来の救急車では、患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや、精密医療器具を搭載する必要があるといいます。
その要素を求めると、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きいと日産は説明しています。
日産が納入したEV救急車は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取り組みの一環として、東京消防局に初のゼロ・エミッション救急車として導入されました。
なお、東京都の入札情報サービスによると2019年5月15日に「特殊救急車(電気自動車)」として8142万5570円で購入されています。
このEV救急車は、日産が欧州で販売している「NV400」をベース車両とし、ボディサイズは全長5548mm×全幅2070mm×全高2499mm、車両総重量は3.5トンで、乗車定員は7名、駆動方式はFF(前輪駆動)です。
心臓部となる駆動用モーターは最大出力55kW、最大トルク220Nmを発揮します。
このEV救急車には、駆動用バッテリー(33kWh)と装備品用バッテリー(8kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載。
駆動用バッテリー(33kWh)は、充電AC200V、最大出力7kWで普通充電(タイプ2)に対応。
装備品用バッテリー(8kWh)は、充電AC100V、最大出力1.5kWに対応しています。
ふたつのバッテリーを搭載することで、電装機器やエアコンをより長時間作動させることや、停電時や災害時には移動電源としても活用することが可能です。
また、救急隊員の負担を軽減するために電動ストレッチャーの採用や、全席シートに乗員の安全性を向上させるシートベルトを装備。
日本法規への適合や専用の救急架装については、救急車として導入実績のある日産「パラメディック」での豊富な実績を持つ、オートワークス京都が担当。内外装は欧州の緊急車両架装大手であるGruau社の救急架装パッケージを採用しています。
EV救急車について、日産の代表執行役最高執行責任者兼チーフパフォーマンスオフィサーとなるアシュワニ・グプタ氏は次のように述べています。
「日産は、持続可能なモビリティによって、ゼロ・エミッション、ゼロ・フェイタリティ社会の実現に向けて貢献していきます。
本車両は、地域社会において環境にやさしいクルマがより利用しやすくなっていく、大きな事例のひとつとなるでしょう」
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