8000万円超の「EV救急車」導入から1年 デイタイム救急隊で活躍する稼働現状はいかに

稼働開始から約1年。 EV救急車はどうなった?

 EV救急車は、2020年5月12日に稼働開始されたといいます。

 EV救急車を稼働させている池袋消防署における救急車の要請が昼間に多いということで、池袋消防署では2019年5月に「デイタイム救急隊」を発足させました。

 運用時間は、その名のとおり平日の8時30分から17時15分までの間で、夜間はEV救急車の充電時間となります。

 東京消防庁によると、稼働開始から2021年3月31日までの出場件数は、5月は38件、6月は72件、7月は68件、8月は15件、9月は0件(※8月、9月は東京消防庁の装備工場にて点検整備)、10月は79件、11月は69件、12月は38件、2021年は53件、2月は3件(※2月はメーカーの法定点検)、3月は75件となっています。

 総件数は510件、総走行距離は4425kmとなっており、1日に1回以上のペースで運用されています。

傷病者の搬送時に大きな力になってくれる電動ストレッチャー(画像提供:東京消防庁)
傷病者の搬送時に大きな力になってくれる電動ストレッチャー(画像提供:東京消防庁)

 導入当時に大きな話題となったEV救急車について、東京消防庁広報課報道係の担当者は次のように話しています。

「EV救急車を導入してみて、電気自動車であることで低振動、低騒音化につながり、傷病者にとっても従来の救急車より車内が静かで安心できる環境になること、排ガスがゼロのため環境にもやさしいのが従来の救急車と異なるメリットといえます。

 また、電気救急車には電動ストレッチャーが装備されており、傷病者の搬送時に大きな力になってくれます。

 この電動ストレッチャーは、318kg(昇降227kg)の人まで乗せることができます。

 EV救急車の隊員からは、実際に体格の良い人を搬送した事例がありましたが、通常よりも少ない人数で安全に持上げることができましたという回答も得ています。

 距離については、1回の満充電で走行可能距離は約130kmです。(JC08モード)

 運用はデイタイム(日中)になるため、運用中に充電が必要になることは少ないと想定しています。

 仮に充電が必要になった場合は、各署に配置している非常用の救急車両(ガソリン車)を運用する方針です。

 そのほかの課題点については現在洗い出している段階です」

※ ※ ※

 国内初導入となった8000万円超えのEV救急車は、導入から1年が経過した時点で多くの人の救助に役立っているようです。

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