フェラーリのカースト制度を解説! 一番高価な跳ね馬とは?
スーパーカー・カースト制度において、トップに君臨するフェラーリは、間違いなく憧れのブランドである。しかし、同じフェラーリのクルマでも、そこにはまたヒエラルキーが存在するのである。その見えざる階級を分かりやすく解説しよう。
同じフェラーリでも確固たるヒエラルキーが存在する
フェラーリは、誰もが憧れる存在。もしも自動車ブランドにも「ヒエラルキー」というものが存在するならば、フェラーリは間違いなく頂点に立つビッグネームのひとつであろう。それでは、フェラーリの歴代モデルにもヒエラルキーが存在するのかと問われれば、答えは「イエス」といわねばなるまい。
1947年の創業以来70余年を経て、これまでマラネッロ本社工場から送り出されたフェラーリのモデル数はおびただしいものとなったが、そのなかにも図式は極めて複雑ながら確たる格付けが見られる。
そこで今回VAGUEでは、世代別およびタイプ別によって世界的にいかなる評価となっているかを、現在の国際マーケットにおける価格帯とともにレポートしよう。
評価軸としてはいささか生々しく、お行儀も悪いものになってしまうようで恐縮なのだが、それでも「価格」というものが存外正直に存在を示すことも、また事実なのである。
●クラシック・フェラーリには確固たるヒエラルキーが存在する?
もっとも高価な(つまりヒエラルキーの高い)フェラーリとして誰しもが思い出すであろうモデルといえば、FIA国際スポーツカー選手権GTカテゴリー制覇を期して製作された「250GTO」に違いあるまい。1962−1964年まで、前・後期合わせて39台のみが作られ、レースでもそうそうたる戦果を挙げた元祖GTOは、現在の国際市場では40億−70億円あたりで取り引きされているようだ。
また「250GT」系でも、ピニンファリーナのデザイン/スカリエッティの架装による「コンペティツィオーネ(レーシングモデル)」色の強いモデル、たとえば「250GTトゥール・ド・フランス」や「250GTショートホイールベース」、「250GTスパイダー・カリフォルニア」、あるいはレーシングスポーツの「250テスタロッサ」などにも、20億円前後の価格がつけられる事例が多いほか、250GT時代以前に製作された「166」系や「340」系レーシングスポーツなども、おおむね10億円以上の相場観が見込まれる。
しかし、実は上記のモデルたちがフェラーリ界の最上位とは言い切れないところもある。同じコンペティツィオーネでも一定数がシリーズ製作され、主にプライベートチームを対象に販売もおこなわれた250GTOたちに対して、ワークスチーム「スクーデリア・フェラーリ」のために数台のみが製作された「315S/335S」などのレーシングバルケッタ、あるいは「250P」から「330P4」、「312PB」あたりに至るレーシングプロトタイプの存在があるのだ。さらには1970年代までのF1マシンたちは、まさしく「雲上界」のものとみるべきだろう。
こうしたフェラーリは、マーケットに売りに出る機会は皆無に等しく、取引価格が表面化されることもない。そして、たとえ購入資金があったとしても、新参者が一朝一夕に入手できる類のものではない。全世界でもひと握りのコレクターたち、日本でいえばかつて静岡・御殿場に「フェラーリ美術館」を開いていた松田芳穂氏のような超級フェラリスタたちのみが、足を踏み入れることを許された領域なのだ。
一方、1950−60年代にごく少数が製作された、歴史上もっともゴージャスなフェラーリとして知られる一連の「スーパーアメリカ/スーパーファスト」などの豪華モデル、あるいはピニンファリーナが一括してボディデザイン/架装を担当する以前の時代に、ごく少数が製作された「トゥーリング・スーペルレッジェーラ」製や「ヴィニャーレ」製の車両たちも、数億円の相場価格とともに特別なフェラーリとして神格化されている。
そして1958年の「250GTピニンファリーナ製クーペ/カブリオレ」以降の量産モデルについていえば、世代を問わず4シーターよりも2シーターの方が上位。もちろん生産数も、少なければ少ないほど上位となる。
そして何より「365GTB/4デイトナ」や「ディーノ206/246GT」など、誰の目から見ても判りやすい美しさを湛えたモデルが高く評価され、結果としてヒエラルキーの上位に位置するようになったかと思われる。
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