感動間違いなし! フェラーリ「360モデナ」をサラリと乗るのがカッコイイ!!【映画の名車】
「クルマ」と「映画」は、19世紀に発明され20世紀に開花した偉大なる文化だ。そしてクルマは名画を彩る重要なファクターでもあった。そこで、心に残る劇中車を紹介。今回は、発売当時にフェラーリ史上もっとも販売されたフェラーリ「360モデナ」が登場する映画を解説しよう。
枯れた感じの「360モデナ」がちょうどいい!
2010年、ヴェネツィア映画祭の「金獅子賞」を獲得した現代の名作。
42歳の若さにして巨匠としての名声を着実に築きつつあったソフィア・コッポラ監督が脚本も手掛けた「SOMEWHERE」。製作総指揮は、監督の父であるフランシス・フォード・コッポラ。製作には同じく映画監督で兄のロマン・コッポラが名を連ねるなど、コッポラ・ファミリーが一丸となって完成させた、父娘の情愛を描くヒューマンドラマである。
●フェラーリを足グルマとして使う
世界的な映画スターのジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、セレブ御用達として知られるロサンゼルスのホテルに居を構え、連日連夜パーティや美女たちとの派手な暮らしを送っていたが、心の奥では仕事と空虚な生活に疲れを感じていた。
そんな折、離婚した元妻レイラと暮らしていた11歳の娘クレオ(エル・ファニング)が、突然彼の許にやってくる。
国際映画祭の授賞式を控えていたジョニーだが、開催地のイタリアまでクレオを同行させるなど、2人の距離は急速に縮まっていった。
親権者であるはずの母親の気持ちが自身から離れつつあることに気づき、感情が不安定になっていたクレオも、父親の深い愛情を受けて無邪気な笑顔を取り戻してゆく。しかし、母レイラの意向で、父娘は再び離れ離れとなる運命を受け容れざるを得なくなる……。
シンプルなプロットと、BGMを極力控えた美しい映像で、親子の情愛の蘇る姿が淡々と描かれるこの作品において、極めて重要な役割を果たしているのが、漆黒のフェラーリ「360モデナ」である。
ファーストシーンからラストシーンまで重要な場面では必ず登場し、主人公ジョニーの心情をそのまま表すようなエキゾーストノートを聴かせる。そしてラストでジョニーが下す重大な決断にも、この360モデナが大きな存在感を示すことになるのだ。
この作品が制作された2010年の段階では、360モデナは既にデビューから10年が経過していた。世界的トップスターであるジョニーが愛用するには、いささか旧式のモデルといわざるを得ない。
これはあくまで筆者の想像の域を出ないのだが、「F430」でもなく「458イタリア」でもなく、旧い360モデナを選んだことには、ジョニーがこのクルマに何らかの拘りと愛情を持っていたことを暗に示していたのではあるまいか?
だからこそ、ラストにおける360との別離が、「SOMEWHERE」という主題と重なり合ってくるのだ。
スーパーカーの出演する映画は、ともすればB級作品との偏見を受けがちだが、この映画はカーマニアならずとも感動に値する佳作といえるだろう。
●劇中車:フェラーリ360モデナ
ピニンファリーナによるデザインで、名称は3.6リッターのエンジンが由来。販売当時、フェラーリ史上最多の販売台数を記録したことでも知られる。
『サムウェア/SOMEWHERE』
公開年:2010年
上映時間:98分
監督:ソフィア・コッポラ
出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング
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