スズキ「ジムニー」をなぜEV化? クロカンEVで南極点目指す壮大な計画とは

EVといえばスマートな印象がありますが、それと対象的なクロカン四駆のスズキ「ジムニー」をEV化した事例があるといいます。どのようなモデルなのでしょうか。

本格的なクロカン四駆「ジムニー」がEVに生まれ変わった事情とは

 昨今、世界的に普及し始めている電気自動車(EV)。環境性に優れスムーズに走るイメージがあります。
 
 一方で、高い悪路走破性を持ち、現在まで世界中でその実力を評価されているのがスズキ「ジムニー」ですが、そのジムニーをEV化したモデルが存在するといいます。

自動車環境問題NGO「ZEVEX~ゼベックス」が制作したEVジムニー
自動車環境問題NGO「ZEVEX~ゼベックス」が制作したEVジムニー

 現在、日本では本格的なオフロード走行が可能なEVは販売されていません。

 そんななかで、EVジムニーを制作したのが、自動車環境問題NGO「ZEVEX~ゼベックス」です。

 ゼベックスは、2020年初めより神奈川県川崎市のチームピットで製作を続けていた急速充電器(チャデモ規格)を使用して充電可能なクロカン専用4x4EV(EVジムニー)のカスタム作業を同年7月12日に動画で公開しています。

 改造に使用されたジムニーは1981年製の「SJ30型」で、従来のサイズは全長3195mm×全幅1395mm×全高1690mmの重量705kg。エンジンは539cc直列3気筒を搭載しています。

 今回のEVジムニーには、新しく日産「リーフ」の中古バッテリーを40個繋げたバッテリー」が採用されました。

 走行テストはまだ不十分だといいますが、これまでの走行データをもとに判断すると満充電から130kmから140kmの走行が可能です。

 さらに、急速充電器に30分つなぐことで約100kmの追加走行が可能で、オフロードだけでなく、日常使いでも十分に使用できる利便性を備えていることがわかります。

 なお、ゼベックスは別途製作したEVジムニーで、結氷した間宮海峡(ロシア)を走った実績も持つ4WD電気自動車冒険チームです。

 今回の改造の目的は、日常での使い勝手の向上という以外に、1997年の設立当初からの目標である「四輪駆動のEVにゼロエミッションの電力だけを使って南極点に到達しよう」という目的を達成するためだといいます。

 このように、EVジムニーと共に新しいチャレンジを続けているゼベックスですが、そのチャレンジの裏にどのような背景や苦労話があるのでしょうか。

 ゼベックス代表の鈴木氏は以下のように話します。

「今回改造したジムニーはもともと1999年から2000年にジムニーに改造を施したものです。

 モーターに関しては車検当時に職権打刻されていたため、今回の改造ではバッテリーのみをリーフのものに変えています。

 アメリカで発売されたBMS(バッテリーマネジメントシステム)が発売から1年を超えたあたりからアップデートによってバグが取り除かれたことなどが理由で購入を決めました。

 200万円前後の高い買い物ですから、購入を決断するまでに時間がかかったのが苦労したポイントのひとつです。

 また、載せ替えの作業は当初3か月もあれば完了すると思っていましたが、はんだごてを使った電子工作のような細かい作業に加え、メーカーのマニュアルをプリントアウトしつつ拡大コピーして閲覧する流れでおこなうことになり、思った以上に時間がかかって苦労しました。

 南極点アタックのための手続きは、2021年4月現在も難航しています。

 2021年は新型コロナウイルスによって飛行機は飛ばず、2022年は南極で日食が見られることで観光客が押し寄せることが予想されるため、アタックができない状態です。アタックは最短でも再来年(2023年)になるでしょう。

 ゼベックスとしては『山岳会のような存在でありたい』という想いがあり、今回の準備期間を通じて若い四駆好きの人たちにオフローディングの正しい知識や経験を与える場を提供したいと思っています。

 今回、EVジムニーを急速充電可能にしたのには、そのためということもあります。

 冬の北海道でのトレーニングに使用するには、街中でも急速充電できることは必要不可欠でした」

※ ※ ※

 ゼロエミッションEVによる南極点到達という目的だけでなく、若い四駆好きの人に「クルマを使った冒険」のための場を提供するために、今回のEVジムニーは製作されました。

 すでに南極点アタック用の車両も準備されており、本番を待つばかりという状態です。

 EVジムニーによってトレーニングを重ねることで、将来の南極点アタックの成功が現実味を帯びてくるでしょう。

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