2030年、たとえガソリン車が全面禁止になったとしても…… チョッパーが永遠不滅であることを示すビルダーの気概
近年はカーボンフリー化の動きに伴い、ガソリンエンジン撤廃に向けた動きが活発になっています。そうした中、いまから8年前の2013年に時代を先取りするような電動カスタムバイクが製作されていました。どのような一台なのでしょうか。
未来を見据えた電動チョッパー
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2020年12月3日に予約が開始され、いよいよ近々デリバリーが開始されるでろうハーレーダビッドソン初の電動スポーツバイク、“ライブワイヤー”。ゼロ発進から動力がMAXで伝わるEVならではの加速性能や11.6kg・mに相当する最大トルク、最高出力102psを発揮する“レボリューション・モーター”などが話題ですが、この先の時代を考えるとガソリンエンジンの撤廃による“脱炭素化社会”とクルマやバイクのEV化という項目は避けてとおることの出来ない必然かもしれません。
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2030年、イギリスではガソリン車・ディーゼル車の販売禁止が発表されていますし、2035年の米国、カリフォルニアも然り。我が国、日本も東京都の小池百合子都知事によると2030年までの純ガソリン車の禁止によるカーボン・ニュートラル・脱炭素社会の実現を目指すとのことです。
この先の未来、温暖化対策をはじめとする地球環境の保全の観点から社会構造が変わっていくことは致し方ないことなのかもしれませんが、イチ・マニアとして考えれば、あとたった10年あまりでガソリン車が無くなるという事実は一抹の寂しさを感じるのが正直なところ。クルマ、バイクを取り巻く環境が大きく変化していくであろう予想も立ちます。
その中で「カスタムバイクやチョッパーの未来は一体、どんなカタチになるのだろうか?」という想いがフト脳裏に沸き起こってきたりもするのですが、その回答のひとつとして示されているのが、ここに紹介する1台かもしれません。
ガソリン車から電動バイクへの華麗なる転身
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リアサスを持たないシンプルなリジッドフレームに鋭角的なデザインが与えられたプリズミックタンクやテール周りの処理、しかし本来の心臓部であるエンジン部分に目をやると巨大なバッテリーが鎮座するこのマシンは兵庫県神戸市に店舗を構える「シウン・クラフトワークス」によるものです。
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ルックスを見て察しの良い方ならお分かりのとおり、もともとハーレーのショベルヘッド(1970~1984年まで生産されたモデル)のエンジン部分をスワップし、EV化されたものであり、製作されたのは今から8年前の2013年。現在の世界情勢を鑑みてならともかく、世の中にほとんど電動バイクが存在しなかった時代に、こうした発想でチョッパーをクリエイトするビルダーの松村友章氏の姿勢に唸らされるものとなっています。
ちなみにこのマシンは、そもそも1979年式FLHをベースに排気量を88cu-in(1450cc)まで拡大した車両であり、ドラッグレースで11秒台のタイムを叩きだすパフォーマンスが与えられているものでしたが、ビルダーの松村氏はあえてその時のイメージを残して車両を電動化。
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本来、ガソリンタンクであった箇所はアンメーターが内蔵されているのみのボディーパーツとなっているのですが、あえてショベル時代のペイントとデザインをキープした上でのモデファイは、チョッパービルダーらしい皮肉さを感じさせるものです。
またエンジンマウント部分はあえてショベルのものを残し、いつでもガソリン・エンジン仕様に再変更可能な構造となっているあたりにも「この先、どんな時代になろうともチョッパーに携わり、創り、生きていく」松村氏の姿勢と覚悟が伺えます。
たとえば世の中の計画どおり、この先はあらゆる内燃機関が電動化される流れとなっていくのでしょうが、現実的な部分を見ても先行きは不透明と言わざるを得ないのが正直なところです。
すべてのガソリン車を廃止し、それを電動に変えることの方が生産上でCO2排出量が増大することも予想出来ますし、航空機のジェット燃料や船舶用の重油、プラスチックやナイロンなどの石油化学製品を造る上で抽出される「ガソリン」を如何に廃棄するのか? といった問題も棚上げにされたまま議論や計画が進んでいます。しかし、ここに見る1台なら言うまでもなく時代がどう変わろうとも対応が可能です。
車名は“CHOPPERS FOREVER”……最後に繰り返しになってしまいますが、ビルダーである松村友章氏の覚悟と気概を感じるマシンです。
提供:バイクのニュース
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