今では完全に珍車? 今後二度と出ることはないであろう車5選
クルマは日進月歩で進化し続けていますが、その過程で稀にユニークなモデルが出てくることがあります。そうしたモデルは真面目につくられているはずですが、後が続くことなく消えていきました。そこで、今後もう二度と出ることがないであろうと思わせるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
もう出てくることないであろう珍車を振り返る
毎年各メーカーから数多くの新型車が発売されており、日々、各性能の向上や装備の充実など進化は止まりません。
一方、そうした進化の過程で、稀にユニークなモデルが登場します。
そうしたモデルのなかには真面目につくられていても後に続くことなく、消えていってしまったモデルも存在。
そこで、今後もう二度と出ることがないであろうと思わせる個性的なクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産初代「テラノ」
1986年に発売された日産初代「テラノ」は、ミドルサイズの本格的なクロカンSUVとしてデビューしました。
シャシは1985年に登場した「ダットサントラック」のラダーフレームを流用し、ステーションワゴンタイプのボディを架装。
搭載されたエンジンは当初2.7リッター直列4気筒OHVディーゼルエンジンのみでしたが、1987年には3リッターV型6気筒ガソリンエンジン車を追加ラインナップし、クロカン車としては少数派だった4速ATを設定するなど、幅広いユーザーを獲得しました。
この初代テラノで最大の特徴は2ドアのボディで、デザインはシンプルながらスタイリッシュなフォルムです。
そもそもSUVの起源はアメリカのピックアップトラックの荷台をワゴンタイプにしたモデルで、初期のモデルはベースのピックアップトラックと同様な2ドアでした。
テラノはその作法に則って企画され、2ドアを採用したと考えられます。
しかし、ロングボディで2ドアでは当然ながら使い勝手は良いとはいえず、1989年には4ドア仕様が追加されました。
かつては他社からもロングボディで2ドアのSUVが存在しましたが、国内では絶滅し、もう二度と出ることはないでしょう。
●オートザム「AZ-1」
1990年代初頭に、3台の軽スポーツカーが誕生しました。ホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」、そして今では伝説的なモデルのオートザム(マツダ)「AZ-1」です。
1992年に発売されたAZ-1は、今日に至るまで軽自動車で唯一のガルウイングドアを採用したモデルで、2シーターのボディに最高出力64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボエンジンをリアミッドシップに横置き搭載するという、メカニズム的にはスーパーカーと変わりありません。
シャシは専用に開発されたスチール製モノコックで、外装にはFRPのパーツを多用したことによって、車重は720kgと軽量です。
また、ステアリングのロック・トゥ・ロックが2.2回転に設定されており、国産車では類を見ないほどのクイックステアを実現しましたが、リア寄りの前後重量配分となったことからフロントタイヤの接地荷重が低く、操縦性はアンダーステア傾向が強くなってしまいました。
一方で、足まわりの反応もピーキーで唐突にオーバーステアに転じることもあり、スピンを喫してしまうケースも散見され「楽しいけれど危険なクルマ」とレッテルが貼られたほどです。
AZ-1はガルウイングの軽自動車というだけでもかなり貴重な存在ですが、荒削りな性能も今では実現できないでしょう。
●トヨタ「iQ」
1994年にダイムラーと時計メーカーのスウォッチが新たな自動車会社としてMCCを設立し、1998年に「スマート」ブランドから2人乗りのマイクロカー「シティークーペ」(日本では「スマート」)が発売されました。
斬新なコンセプトのスマートは日本でも好意的に受け入れられましたが、2人乗りという点からユーザーは限定的だったといえます。
そこでトヨタは2008年に、スマートと同様なコンセプトのマイクロカーでありながら、3+1の4シーター とした「iQ」を発売。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと、全長は軽自動車よりも40cm以上も短く、この室内に4人分のシートを収めるために数々のアイデアが詰め込まれていました。
エンジンは1リッターと1.3リッターを設定し、iQ専用に設計されたトランスミッションによってフロントタイヤをエンジンよりも前方に配置。さらに新開発の小型エアコンユニットを採用したことで、助手席足元の空間を拡大しました。
また、燃料タンクは床下に格納し、運転席と助手席のシートバックを極力薄型化することで、リアシートのスペースを確保しています。
さらに、後席の乗員を保護する世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を全車標準装備するなど、安全性についても十分に考慮されていました。
iQの優れたパッケージングは国内外で高く評価されましたが、快適に乗れる限界は大人3人までだったことと、比較的車両価格が高かったことから、軽自動車のシェアを奪うことはできず2016年に生産を終了しました。
iQ専用に開発された技術は数多く、ここまで単独の車種にコストをかけることは今後難しいでしょう。
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