「技術の日産」をアピールした立役者! 日産「510型ブルーバード」を振り返る

先進的な設計で高い評価を得た510型ブルーバード

 1967年にデビューした510型ブルーバードは、エンジンやシャシなどが先代の410型から大きく生まれ変わりました。

 先代で不評だったデザインは、「スーパーソニックライン」と呼ばれる直線的で彫りの深いシャープなデザインに一新され、ボディタイプは、2ドア/4ドアセダンとワゴン/4ドアバンの4種類を設定。

「スーパーソニックライン」と呼ばれるシャープなデザインが特徴の3代目「ブルーバード」
「スーパーソニックライン」と呼ばれるシャープなデザインが特徴の3代目「ブルーバード」

 1968年には「コロナハードトップ」に対抗した2ドアクーペも追加し、テールライトには最近再び登場しているシーケンシャルウインカーを採用。流れるウインカーはスポーティな2ドアクーペのイメージを深く印象付けるもので、若者たちから大人気となりました。

 今となっては小柄に見えるボディは、4ドアセダンが全長4095mm×全幅1560mm×全高1420mmのサイズで、410型セダンの全長3995mm×全幅1490mm×全高1415mmからひとまわり大きくなり、ライバルの3代目コロナセダンの全長4110mm×全幅1550mm×全高1420mmに匹敵するもので、車格がエントリーカーから上がったことを物語っています。

 搭載されたエンジンは、その後の日産車に採用され続け長寿となった直列4気筒SOHCのL型エンジンで、登場時には1.3リッター(1970年には1.4リッターに変更)と1.6リッターをラインナップ。

 1970年には最高出力100馬力(1971年には105馬力まで出力向上)を発揮する1.8リッターエンジンを搭載した「1800SSS」が追加されると、国産車の高出力化を一気に加速させました。

 510型ブルーバードのサスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがセミトレーリングアームとなる日産車初の四輪独立懸架を採用。操縦安定性と乗り心地を両立した先進的な設計は、「技術の日産」のイメージを確実なものにし、コロナへのアドバンテージを築きました。

 そして、クルマ好きを自認するオーナーたちの多くがブルーバードに憧れ、そして実際に選んだものです。

 先代と同様にアメリカへの輸出もおこなわれ、当時のアメリカ車にはない軽快なドライブフィールと経済性、信頼性が若者を中心に高く評価され「ファイブテン」の名でヒットを記録。

 S30型初代「フェアレディZ(米名は240Z)」とともに「ダットサン」の名前をアメリカに広めたクルマといえます。

 また、510型ブルーバードは先進的な技術を裏付けるように海外のラリーで上位入賞を果たし、「ラリーの日産」のイメージも揺るぎないものにしました。

 1971年に610型「ブルーバードU」が登場すると、510型は1800ccエンジン搭載車とクーペを廃止してベーシックな4ドアセダンのみ販売を継続。1973年には710型初代「バイオレット」が発売されたことで、510型ブルーバードの販売は終了しました。

※ ※ ※

 510型ブルーバードは、1970年に開催された「第18回東アフリカサファリラリー」で総合優勝を勝ち取るなど、軽快なドライブフィールだけでなく高い信頼性も合わせ持った高性能セダンでした。

 その性能を海外では「プアマンズBMW」と評価されるほどで、日本車が持つ高い技術力と先進性を「欧州車に引けを取らない」と大きくアピールすることに成功。

 歴代のブルーバードは日本の自動車産業の発展や国内市場の拡大に貢献したクルマであり、なかでもエポックメイキングだった510型は愛され続け、今も国内外に数多くの愛好家が存在します。

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Writer: くるまのニュース編集部

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