「自分より上手いかも」 首都高でも問題なし! トヨタ・レクサスの凄い支援技術とは
世界一複雑な道路? 首都高「C1」でアドバンスド・ドライブの実力はいかに?
料金所を抜けて本線に合流。メインスイッチONで自車が高速道路上にいることなどの作動条件が整い、メーター内に「Advanced Drive Ready」の表示が出たら、SETでアドバンスト・ドライブが起動。専用のメーター表示(走行レーンや周りのクルマが解るアニメーション)に切り替わります。
メーター内がグレー表示の時は従来のLTA(レーントレーシングアシスト)と同じくステアリング支援ですが、ここでまずビックリ。
LTAは、Rが厳しいコーナーでも支援を続けるので、まさに「ステアリングに手を添えているだけでOK」なのです。
正直、これまでのシステムのほとんどは「環状線では使い物にならん」と思っていましたが、アドバンスト・ドライブは初めて「使いたい!!」と感じたステアリング支援だと感じました。
メーターの色がグレーからブルーに変わるとハンズオフドライブが可能になります。
ステアリングから手を離しますが、まるでプロドライバーが操作しているかのような加減速と滑らかなステアリング操作となり、個人的にもっとも優秀な運転支援システムだと思っていたスバルのアイサイトXを超える精度の高さに2度目のビックリ。
とくに連続カーブが続く9号深川線のスムーズなトレースは、ステアリングを握っていないのに気持ち良さを感じたくらいです。アドバンスト・ドライブに負けるドライバー、多いと思います。
さらに細かい話になりますが、本線走行中に合流するクルマに対して減速して車間距離を開けるといった周辺車両の動きに対する配慮や、大型車の併走・追い抜き時にセンターを走るのではなく隣のクルマとの間隔を少しあけて走行するなど、「ドライバーだったこうやるよね」といった微調整に思わずニンマリ。
このように機械なのに血が通っているようなさまざまな制御に、豊田章男社長が常日頃から語る「ヒト中心の思想」は運転支援システムにシッカリ表れていることを実感しました。
この状態で前に遅い車がいると、システムが車両状況と道路環境を考慮して車線変更可能だと判断して、クルマ側から追い越しの提案がおこなわれます(メーター内に表示)。
流れとしては、「ドライバーがクルマの提案に対して『はい』を選択→ステアリングを保持→ドライバーが車線変更先を確認→承認→自働でウインカーON→車線変更→ウインカーOFF」までをおこなってくれます。
また、ナビゲーションで目的地を設定していると、メーター内に運行行程が解るジャンクションや出口への進入の支援も同様に自動でおこなってくれます。
このときの一連の動作やクルマの動きなどは非常にスムーズですが、周りのクルマが多い状況だとなかなか車線変更ができないもどかしさを感じるシーンがあったのも事実です。
安全最優先なのは解りますが、「クルマに委ねても大丈夫」と感じられるような制御を期待したい所です。
開発者にそのような話をしたら、「そのためのソフトウェアアップデートですので」と答えてくれました。
ただ、首都高は運転支援に関しては日本でももっともハードルが高いステージなのも事実です。
実際に使ってみて、操作に関して気になる点が3点ほどありました。
ひとつ目は追い越し提案の表示などクルマ側からの提案表示が小さいことと「はい」のコマンドが左側のスイッチなこと(運転支援系のスイッチはすべて右側なのに)。
ふたつ目はドライバーが車線変更先を確認したかどうかはステアリングコラムに装着されたドライバーモニターカメラが顔の向き/視線方向から判断しますが、現状では判断したかどうかのフィードバックが音だけで解りにくいこと(LEDなど視覚的な手段があってもいいのでは?)。
そして、みっつ目はハンズオフ状態である事が同乗者に解る表示がない事です。
とくにみっつ目は自動運転技術を多くの人に理解してもらうためには、個人的には非常に大事なポイントのひとつだと思っています。
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いくつか気になる点はありますが、トヨタが提唱する人とクルマが仲間のように共に走るという「モビリティ・チームメイト・コンセプト」が具体化されたシステムであると同時に、もっとも自動運転に近い「究極の運転支援」だと感じました。
まさに自働運転レベル3目前のレベル2.9999999999です。そう考えると、ベース車+66万円高というプライスは、意外とリーズナブルなのかもしれません。
気になるのは、この技術がどのような形で普及技術として水平展開されていくかでしょう。
ちなみに、第2世代トヨタセーフティセンスが最初に採用されたトヨタ車は「アルファード/ヴェルファイア」でしたが、第3世代トヨタセーフティセンス採用は果たしてどのモデルでしょうか。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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