「毎日見ても飽きない車」何が重要? 三菱ふそうがデザインで意識する3つの原則とは
職人の技に支えられているデザイン作業
報道陣は複数のグループに分かれて、各種のデザイン作業や展示物を見学しました。
筆者が参加したグループでは、まず輸送の20年後から30年を想定した「アドバンスデザイン」について説明を受けました。
デザインの狙いとして、近年ダイムラーが研究開発を加速させている燃料電池や自動運転、さらにキャンターの本格的AWDについても実車を使って次世代デザインを開発中だといいます。
そのうえで、具体的なデザイン実績として、燃料電池で駆動する緊急車両「I.RQ」を挙げます。
「I.RQ」からは垂直離陸が可能な小型ドローン「ヘリドロイド」が離発着します。実際、「ヘリドロイド」を念頭に置いた実機で飛行実験をおこなっています。さらに、未来に向けたドローン「マンタ」のデザインも公開しました。
少し場所を移して、バーチャル・デザイン・オフィスでは、ドイツ、米国、インドなど海外のダイムラーデザインオフィスとの連携を深めるため、VR(仮想現実)のハードウエアとソフトウエアを駆使したデモンストレーションを体験しました。
次は、フィジカルデザインです。こちらでは、モデラー体験をおこないました。カーデザインは基本的に2次元で描かれ、それがソフトウエア上の3Dデータとなったとしても、実物による確認と修正は必然となります。
そうしたなかで、フィジカル(物理的)におこなわれるデザイン作業は、いまでも昔ながらのモデラーという職人技によって支えられています。
三菱ふそうトラック・バスでは、デジタルデータによるモデリングと、人の手による造り込みを、デザインの初期から最終段階まで何度も繰り返す体制を敷いています。
事業者が毎日のように見て触れるトラック・バスという商品特性上、キメ細やかなデザインを目指しています。
実際、モデラー作業のいくつかを体験しましたが、対応していただいたベテランモデラーは「まさに、習うより慣れろという感じで修練してきました」とこれまでのモデラー人生を振り返りました。
最後に、量産に向けたプロダクトデザインを見ましたが、キーポイントはCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)による見た目の美しさと機能性の高さです。
当然、乗用車でもCMFが重要な観点ですが、トラック・バスでも事業者、そして旅客として利用者の快適性を重視する上で、さまざまな試みがなされていることを知りました。
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当初は、さまざまな憶測を呼んだイベントでしたが、実際に参加してみて、日本のみならずグローバルでの「クルマづくりの在り方」を再確認する良き機会になったと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
「毎日見ても飽きない車」とタイトルにありますけど、最近のふそうはフルモデルチェンジすらされてなく、スーパーグレートはメーター周りと安全装備が充実しただけで、ファイターは30年近く同じキャブ骨格を流用してビッグマイナーチェンジを繰り返し、最近新しくなったキャンターはキャブ骨格だけでなく内装までキャリーオーバーし、正直ふそうのデザインには飽きました。I社みたいにガラッと大胆にデザイン変えて欲しいです