日産ガソリン車早くも無くす? なぜ新型車「ノート」「キックス」はHV専用車になったのか
日産のコンパクトカー「ノート」は、2020年12月のフルモデルチェンジでハイブリッド専用車となり、ガソリン車が廃止されました。コンパクトSUVの「キックス」もガソリン車はなく、ハイブリッド車のみです。ガソリン車をなくしたことにデメリットはないのでしょうか。
新型ノートと新型キックスはハイブリッドのみで割高感が否めない!?
2020年に発売されたコンパクトカーの日産新型「ノート」とコンパクトSUVの日産新型「キックス」は、ハイブリッドのe-POWER専用車で、従来のような走行用ガソリンエンジンは搭載されません。
先代ノート(2代目)には、ガソリンエンジンやスーパーチャージャーを装着したグレードもありましたが、新型となる3代目はe-POWERに絞られました。
日産のe-POWERは、ガソリンエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動する「シリーズハイブリッド」と呼ばれる方式を採用しています。
e-POWERのみの設定ということで、新型ノートも新型キックスも価格が上がっています。ノートでもっとも安価な「S」は202万9500円(消費税込、以下同様)、キックスの「X」は275万9900円です。
ノートのライバル車となるトヨタ「ヤリス」は、法人向けに設定された価格のもっとも安いガソリンエンジンの「X・Bパッケージ」が139万5000円です。
キックスに対抗するトヨタ「ヤリスクロス」のX・Bパッケージも179万8000円なので、ノートとキックスはライバル車に比べて価格帯が大幅に高くなりました。
なぜ新型ノートはe-POWERのみになり、ガソリンエンジンを廃止したのでしょうか。
新型ノートの開発者に尋ねると、以下のような返答でした。
「ノートの場合、先代モデルでもe-POWERが約75%を占めていました。そこで新型はe-POWERのみの設定にしています。選択と集中の考え方で効率化を図った事情もあります。
また新型ノートは内装の質を先代モデルに比べて大幅に高めましたが、これは価格が200万円を超えるe-POWERのみだから可能になりました。
150万円前後のガソリンエンジン車を用意すると、(コストとの兼ね合いで)あそこまで上質な内装にはできません。2種類のインパネを用意する必要があったでしょう」
ガソリンエンジン車も用意すれば、当然に開発コストが上がります。そうなると内装の質を高く保ったまま価格を抑えることも難しくなります。
先代モデルもe-POWER比率が多かったことから、新型ノートはe-POWER専用車になったというわけです。
またキックスは、タイで生産される輸入車です。受注を簡素化する必要があり、e-POWERに限定した事情もあります。
キックスのグレードはXと「Xツートーンインテリアエディション」のみで、セットオプションも2種類しか選べません。
ノートやキックスでガソリンエンジン車を選べない理由は、開発、生産、受注など、さまざまな効率を高めるためですが、その代わりグレードなどの選択肢が限られ、価格帯も高くなりました。
開発者は、「先代ノートは約75%がe-POWERでした」とコメントしていますが、見方を変えると残りの25%はガソリンエンジン車だったということです。
新型ノートの販売が本格的に開始された2021年1月と2月の登録台数を平均すると約7400台になります。
ヤリス(GRヤリスとヤリスクロスを除く)の登録台数は約9070台なので、新型ノートは1670台ほど少ないです。
しかし仮に新型ノートにガソリンエンジン車が用意され、その販売比率が25%を占めれば、販売総数は9900台前後に増えていた可能性もあるでしょう。
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