いさぎよく何かを犠牲にした? 性能や見た目にこだわった車3選

一般的に軽自動車ならば安価でなるべく広い室内、コンパクトカーならば燃費などの経済性と使い勝手の良さ、スポーツカーならば走行性能と実用性バランスさせて開発されています。しかし、ある性能や見た目に特化したモデルも存在。そこで、何かを犠牲にしてまで性能やデザインにこだわったクルマを3車種ピックアップして紹介します。

室内の広さよりもデザインを優先した軽自動車とは?

●スバル「R1」

居住性よりもデザインを優先した軽自動車の「R1」
居住性よりもデザインを優先した軽自動車の「R1」

 日本独自の規格として長い歴史がある軽自動車ですが、1979年に発売されたスズキ初代「アルト」が47万円という驚異的な低価格を実現したことで、普及がさらに加速しました。

 当時、商用車には物品税が課せられなかったことから安価な価格に設定できるとして、アルトは後席のスペースを犠牲にした商用バンとして開発され、以降は軽ボンネットバンが主流となります。

 しかし、1989年に物品税が廃止され、軽自動車税も見直されたことから軽ボンネットバンから乗用車が再び主流となって、現在に至ります。

 そして、軽ハイトワゴン、トールワゴンの登場で軽自動車は広い室内を競うようになりましたが、2005年にデビューしたスバル「R1」はそんな流れに逆らったモデルでした。

 R1のボディは軽セダンのR2をベースにした3ドアハッチバッククーペで、後席スペースは緊急用としてしか使えない2+2に設定。

 あくまでも前席2名乗車をメインに設計された、スペシャリティカーを目指していたのです。

 スタイリングはかなりユニークで画期的な造形と高く評価され、フロントビューも全体のイメージを壊すことなく個性とアイデンティティを主張するなど、新しい軽自動車のカテゴリーとされていました。

 また、内装のデザインはR2に準じていましたがビビッドなカラーコーディネートも設定されるなど、独自の世界観が取り入れられています。

 エンジンは最高出力54馬力を発揮する660cc直列4気筒自然吸気を搭載し、さらに追って64馬力の直列4気筒DOHCスーパーチャージャーをラインナップ。トランスミッションは全車CVTのみです。

 足まわりは4輪独立懸架を採用するなど、走りの質にもこだわっていました。

 しかし、軽スペシャリティカーというコンセプトはユーザーには響かず、R1は2010年に一代限りでR2とともに生産を終了。

 すでに背の高い軽自動車が主流となっており、R1のコンセプトが優れていたとしてもニーズはありませんでした。

※ ※ ※

 極端な例ですが、かつてイタリアのスーパーカーは速く走ることに特化していたことから、快適性や経済性などがまったく考慮されておらず、操縦できるのは限られた人だけでした。

 しかし、現代のスーパーカーは驚異的な速さだけでなく、乗り心地や燃費も重視した設計となっており、イージードライブも可能で運転するだけなら誰でもできます。

 時代の流れから当然の進化といえますが、近年、古いクルマが人気となっているのは、気難しい面を懐かしむ人が多いからなのかもしれません。

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Writer: くるまのニュース編集部

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