軽量化のためならエアコンはいらない? とにかく走りを追求した車5選
とにかくストイックな2台の欧州車とは
●ポルシェ「911 カレラRS」
ドイツを代表するスポーツカーのポルシェ「911」は、1964年に誕生しました。以来、現行モデルまで一貫して水平対向エンジンをリアに搭載し、リアタイヤを駆動するRR(4WDもあり)をアイデンティティとして継承。
これまで歴代モデルにはさまざまな高性能バージョンが設定されましたが、第1世代の究極の進化系といえるモデルが、1973年に1500台ほど販売された「911カレラRS」です。
911カレラRSはレースに出場するための認証用に開発され、ハイパワーなエンジンを搭載するとともにボディの軽量化が図られています。
そして、1989年から1993年まで販売された第3世代の「964型」にも、1992年に911カレラRSが設定されました。
964型911カレラRSはワンメイクレース用の「カレラカップカー」をベースに公道走行を可能にしたモデルで、エンジンはスタンダードから10馬力向上させた260馬力を誇る3.6リッター空冷水平対向6気筒エンジンを搭載。トランスミッションは5速MTのみです。
足まわりも強化され、専用セッティングの強化スプリングとショックアブソーバーによって車高を40mmローダウンしています。
また、アルミ製フロントフード、アンダーコートやエアコン、オーディオ、パワーステアリング、パワーウインドウ、エアバッグなどが省かれ、2シーター化、マグネシウム製の専用ホイールの採用などにより、150kgもの軽量化が施されました。
内装には標準でレカロ製フルバケットシートに、ドアの内張りも簡素なタイプに変更されるなど、レーシングカーに近いロードカーに仕立てられたストイックな仕様となっています。
●ロータス「エリーゼ S1」
天才技術者であるコーリン・チャップマンが設立したロータスは、軽量なモデルに特化した英国を代表するスポーツカーメーカーです。
誕生以来数多くのライトウェイト・スポーツカーを輩出するとともに、F1やインディカーといった最高峰のモータースポーツでも活躍。その技術力はいまも失われていません。
このロータスが1995年9月のフランクフルトモーターショーで発表した時代のスポーツカーが、「エリーゼ S1(シリーズ1)」で、1996年に発売されました。
ボディサイズは全長3726mm×全幅1720mm×全高1200mmと非常にコンパクトで、外観は古典的なデザインと最新のスポーツカーフォルムを融合したオープン2シーターです。
もっとも特徴的なのがシャシで、アルミ製押出材をエポキシ樹脂で接着して成形されたバスタブ型を採用し、ボディパネルはロータスがもっとも得意とするFRP製とすることで、車重はわずか690kgを達成。
リアミッドシップに横置きに搭載されたエンジンはローバー製の1.8リッター直列4気筒DOHCで、最高出力は120馬力とハイスペックではありませんでしたが、軽量な車体には十分なパワーと評されます。
また、ヒーター以外の快適装備やエアバッグは省力され、初期のモデルではアルミ製ブレーキディスクを採用するなど、とにかく軽量化にこだわっています。
その後、エンジンがトヨタ製にスイッチされてパワーアップを図り、S2、S3とデザインの変更や快適装備と安全装備が充実していきましたが、すでに生産を終えており、次世代モデルの登場が期待されています。
2001年にS1の生産が終了するまでに、エリーゼは5年間で約1万2000台が販売されるヒット作となりました。
※ ※ ※
最後に紹介したロータスといえば、日本ではロータス「ヨーロッパ」がもっとも有名です。
スーパーカーブームの火付け役である漫画「サーキットの狼」に登場したことで、ロータス・ヨーロッパが日本中に知れ渡ることになりました。
ところが、ロータス・ヨーロッパの実力はそれほど高くなかったという話もあり、むしろオーソドックスなFR車の「エラン」の方がドライバビリティを含め上手だったといわれています。
しかし、ロータス・ヨーロッパのフォルムは唯一無二の存在であり、性能はともかくとしてもスーパーカーと呼ぶに相応しいモデルではないでしょうか。
ダイハツのストーリアX4も同類だな。713ccターボ。