日本ではNGも海外では? 「AT限定免許」の人が現地でMT車運転は問題にならない?

まとまった休みなどに海外旅行へ行く人も多いでしょう。現地でクルマを運転するなら「国際免許」が必要です。国際免許を申請するには、どのような手続きが要るのでしょうか。

日本のAT限定免許、海外ではどんなクルマに乗れるの?

 現在、多くの国で入国が制限されていますが、将来的に制限が解除され、自由に海外旅行が可能になった場合、注意したいのが外国でのドライブです。

 一般的には日本の運転免許証に加えて、国際免許証が必要となります。しかし、多くの国ではAT限定自動車免許がなく、国際免許証にはAT限定等の制限が記載されていません。

 国際免許証があれば、海外ではMT車も運転することができるのでしょうか。

憧れの海外ドライブ! でも「AT限定免許」の場合はどうなる?
憧れの海外ドライブ! でも「AT限定免許」の場合はどうなる?

 より自分らしくアクティブな海外旅行を楽しむために、現地でレンタカーを借りて自分の好きなプランで旅をするという方法があります。

 レンタカーを借りるには、現地の空港等で予約をするほか、出国前にウェブサイトで予約をしておいたり、レンタカー会社のアプリをスマホに入れてアプリから予約を入れたり、さまざまな方法がありますが、多くの場合必要になるのは国際免許証(国外運転免許証)です。

 国際免許証は、充分な有効期間のある運転免許証を持っていれば、国外運転免許証交付申請書、写真、パスポート、申請料を準備できれば、住所地の運転免許試験場や都道府県によっては管轄の警察署などで手続きをして発行することができます。

 しかし、国際免許証があればすべての国で運転が許可されるわけではなく、基本的には、ジュネーブ条約締約国が国際免許証の有効国となります。

 ジュネーブ条約締結国以外の場合を見ると、例えばドイツの場合は日本の運転免許証とそのドイツ語訳、あるいは日本の運転免許証と国際免許証の両方を所持していれば、入国後6か月間は運転ができることになっています。

 また、ハワイやグアムのように日本の運転免許証だけで運転が許可される地域もあるので、旅行先の国がどのような対応をしているのかを確認しておく必要があります。

 国際免許証には、運転することができる車両について、AからEまで5つ分類があり、日本語の記載に加え、海外の言語で翻訳文が記載されています。

 現地のレンタカー会社などは、その翻訳文を見ることで、貸し出す際にそのドライバーにどの車両の運転が許可されているかを確認することができるようになっています。

 普通自動車の運転免許を保有している場合、国際免許証のBの項目に判子が押されます。Bの項目には、「乗用に供され、運転者席のほかに、8人分を超えない座席を有する自動車又は、貨物輸送の用に供され、許容最大重量が3,500キログラムを超えない自動車。この種類の自動車には、軽量の被牽車を連結することができる」と記載されています。

 そこで気になるのが、普通自動車の運転免許と国際免許証に記載の内容で、運転できる車両の適用範囲が異なっているという点です。

 例えば、国内において普通自動車の運転免許の場合は、10人乗り以下の自動車が運転できますが、国際免許証には9人乗り(運転者以外8人)以下となっています。また、国際免許証にはAT限定免許の場合の制限の記載もありません。

 これらの点について、警視庁運転免許本部に問い合わせたところ、次のように回答をいただきました。

「国際免許は、ジュネーブ条約(通称)で決められた区分によって運転することができる車両が定められているので、日本の免許の区分とはズレがあります。

 そのため、あくまで日本の運転免許で許可されている範囲が国際免許証として有効となると考えていただきたい。

 また、国際免許には、AT限定である旨の記載はないですが、日本での運転免許の範囲が対象国での運転が許可される範囲となるため、AT限定免許を保有している場合は、AT車を選んで運転をしてほしい。

 なお、定員については、もちろん9人乗り以下であれば問題ありませんが、10人乗りを運転したいというような日本の運転免許と国際免許証で範囲が微妙に異なるクルマを運転を希望する場合には、国ごとに対応が異なる可能性もあるので、運転する国の領事館などに事前に問い合わせて確認してほしい」とのことでした。

 ちなみに、日本の普通自動車免許の場合、原動付自転車も運転が許可されていますが、国際免許証では2輪車について別項目に分かれているため、2輪車についてはどのような対応になるのかを確認したところ、次のように回答をいただきました。

「2輪車は日本の普通自動車免許だけでは、国際免許証があっても海外では運転はできません。もし海外で2輪車を運転したい場合は、日本の2輪車の運転免許証を取得しておく必要があります。

 基本的に日本のように50cc以下という区分で2輪車を分けていることがないので、2輪車を運転したい場合は日本で2輪車の運転免許を持っている必要があります」

※ ※ ※

 AT車比率が比較的高いアメリカでレンタカーを借りると、基本的にはAT車のレンタカーが用意されています。しかし、MT車比率が高い欧州等で借りると、比較的安いコンパクトカーを選ぶとMT車が用意される場合もあり、AT限定免許の場合は注意が必要です。

 また普段からAT車しか運転したことがない場合は、仮にMT車に乗れる免許を持っていても慣れない場所で慣れないMT車はおすすめできません。レンタカーを借りる場合には、AT車なのかあるいはMT車なのか十分に確認し、必要なら指定しておくとよいでしょう。

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