50年前に登場した名車に迷車とは? 2021年が50周年の車5選

短命だった軽自動車と若者を虜にしたスポーツモデル

●ホンダ初代「ライフ」

「シビック」の生産に注力することで短命に終わってしまった初代「ライフ」
「シビック」の生産に注力することで短命に終わってしまった初代「ライフ」

 ホンダは軽自動車でありながら広い室内空間と高性能なエンジン、低価格によって大ヒットを記録した「N360」シリーズの後継車として、1971年に初代「ライフ」を発売しました。

 360cc直列2気筒空冷エンジンだったN360から、水冷エンジンにスイッチしたことが大きな特徴で、エンジンの騒音が抑えられ、ヒーターの性能も良くなるなど人気を博します。

 ボディは丸みを帯びたフォルムの2BOXスタイルで、1972年に発売された初代「シビック」に通じるデザインとなっています。

 ボディタイプは当初4ドアのみでしたが、追って3ドアハッチバックの商用バンとワゴンを追加ラインナップ。

 前述の水冷エンジンはバランサーシャフトを装備して振動を低減し、最高出力は31馬力(グロス、以下同様)を発揮。1972年にはツインキャブを装着して36馬力までチューンナップされた、2ドアの「ツーリング」シリーズが登場しました。

 駆動方式は全車FFで、トランスミッションは4速MTと3速ATに加え、ツーリングのGSグレードは5速MTが奢られました。

 また、ライフをベースにした軽スペシャリティカーで水冷モデルの「Z」と、1972年には派生車として「ライフ ステップバン」、1973年には「ライフ ピックアップ」という2台のユニークな商用モデルが加わります。

 しかし、ホンダはシビックの生産に注力するため、1974年に軽トラックの「TN」シリーズを除くライフやZなどの生産を終了。ライフはわずか3年と短命に終わりました。

 その後、1997年に軽トールワゴンとしてライフが復活して代を重ね、「N-WGN」の前身となりました。

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●マツダ「サバンナ」

ロータリーエンジン専用車でありスポーツモデルの「サバンナGT」
ロータリーエンジン専用車でありスポーツモデルの「サバンナGT」

 1967年にマツダは、世界初となる量産ロータリーエンジン搭載車の「コスモスポーツ」を発売。その後、マツダはロータリーエンジンを主力の座に据えて、搭載車の拡大を図りました。

 そして、1971年に登場した初代「サバンナ」は、軽量コンパクトで高出力なロータリーエンジンの特徴を生かしたスポーティカーとして開発されたモデルです。

 ボディタイプは当初2ドアクーペと4ドアセダンが設定され、後に5ドアステーションワゴンを追加。フロントフェイスは中央が尖ったフロントノーズの下に大きく開けられたハニカム状のフロントグリル配置し、丸型4灯式ヘッドライトと相まって力強さをアピールしました。

 全車、最高出力105馬力を誇る491cc×2ローターの「10A型」ロータリーエンジンを搭載した高性能モデルながら、比較的安価な価格設定で若者を中心に人気を獲得。

 さらに1972年には、最高出力120馬力を誇る573cc×2ローターの「12A型」ロータリーエンジンを搭載した「サバンナGT」を追加ラインナップするなど、ライバルに対してアドバンテージを築きました。

 1974年のマイナーチェンジでは逆スラントノーズに改められ、さらに眼力の鋭さがアップするなど、硬派な印象を強めています。

 サバンナはツーリングカーレースでも活躍し、常勝だった日産「スカイラインGT-R」の牙城を崩したことも、人気に拍車をかけました。

 その後、1978年に後継者である「サバンナRX-7」へとバトンタッチし、サバンナの系譜は2003年まで続くことになります。

※ ※ ※

 1971年というと、日本で排出ガス規制の強化が始まる前で、数多くの高性能モデルが隆盛を極めていた時代です。

 その後、1973年には一気に高性能モデルが消えるかパワーダウンを余儀なくされますが、技術の進歩も目覚ましく、1980年代には環境対応と同時に再び高性能化していきました。

 いまから50年ほど前は、まさに国産車にとって大きな転換期となった時代といえそうです。

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