クルマやバイクでは忌み嫌われるサビがカッコ良いって!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.85~

レーシングドライバーの木下隆之さんは、忌み嫌うはずの錆が面白いと言います。どういうことなのでしょうか?

見た目だけならサビサビも面白い!? あえておぞましい姿にラッピング

 先週のこの連載コラムで、ライダーが例外なく忌み嫌うであろう「錆」について書いた。僕(筆者:木下隆之)が溺愛する愛車、モンキー君(ホンダ「モンキー50」)のバックミラーの付け根に、ドス黒く赤茶色の悪魔が忍び寄っていて腰を抜かしかけ、悪魔を退治するために『KURE CRC5-56』(防錆・潤滑剤)を浴びせかけた、という話である。

【画像】おぞましい姿に変身したラッピングカーを見る(6枚)

一見すると朽ち果てたクルマだが、じつは新車のトヨタ「プリウス」に錆を模したラッピングを施したもの

とはいうものの、一方で錆を楽しんでいる人もいるというのだから話がおかしい。じつは福島県に『CARAPP(カラップ)』というちょっとユニークなカーラッピング屋がある。僕が2020年までレースを戦っていたマシンのラッピングを担当しており(BMW Team Studie)、腕とセンスは抜群なのだが、ちょっと奇妙な趣味というか、素敵なセンスというか、なんでもかんでも錆させてしまうのである。

 と言っても海水を浴びせかけるわけではなく、全身ボロボロに朽ち果てたような、錆を模したラッピングを施してしまうのである。

 これがまた見事で、間近で凝視しない限り、これがラッピングだとは思えないクオリティ、再現性なのだ。まっさらの新車をドス黒い赤茶色でフルラッピングしてしまうのだからおぞましい。FRP製のバイクのカウルだって、一夜にして錆まみれにしちゃうのだ。

 写真をご覧のように、新車のプリウスが朽ち果ててしまった。動いていることが不思議なほど、少なくとも外観はおぞましい。だが、ワックスでビカビカに磨かれているという不条理。意味不明なのである。

 興味深いのは、本来錆びるはずのないFRPの樹脂までも錆させてしまうところがミソ。それが面白くて、僕が愛用している『GLOBE-TROTTER(グローブ・トロッター)』のアタッシュケースも加工してもらった。

錆びるはずの無いアタッシュケースもラッピングでおぞましい姿に

 グローブ・トロッターは、ヴァルカン・ファイバーという特殊な紙をいく層にも重ねてコーティングした素材である。もともとイギリス海軍が、弾薬を詰めて運ぶために開発させたというケースが発祥だ。誤って海に落としても浮かんでいられるような密閉性も特徴である。ということはつまり、絶対に錆びるはずのないケースを、サビサビにしてもらったのである。

 一方で錆を忌み嫌いながら、一方で錆を楽しんでいる。人間の感覚なんて、言葉で説明するのは難しい。

提供:バイクのニュース


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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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