最近見かけなくなった理由とは? クサビ型のクルマ3選
ここ数年でクルマの安全性能は飛躍的に向上しました。一方で、クルマの安全性向上のため外観デザインにも制約があります。なかでもボンネットはある程度の高さを確保しなければならず、かつてのような低いボンネットのクルマは極端に少なくなりました。そこで、王道のクサビ型を実現したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
今では死語になってしまった「クサビ型」のクルマを振り返る
近年、クルマの技術的な進歩は目覚ましいものがあり、とくに先進安全技術の普及によって、安全性は飛躍的に向上しました。
安全性の向上には先進安全技術などのハイテク以外にも、クルマの外観デザインによっても達成されているのは、あまり知られていません。
それは日本で2005年9月以降製造される新型車(継続生産車は2010年9月以降のフルモデルチェンジから)から導入された歩行者頭部保護基準のことで、万が一歩行者とクルマが衝突した際に歩行者の頭部ダメージを緩和し、重篤な状態となることを避けるために制定されました。
現在、世界中で販売されている乗用車のほとんどはフロントにエンジンを搭載していますが、このエンジンとボンネットのすき間を一定以上確保することで、歩行者の頭部を保護しようというものです。
そのため、現在新車で販売されているフロントエンジンのクルマは、極端に低いボンネットの実現が困難になりました。
一方、昭和の時代には、空力性能の向上やスポーティなイメージを優先し、低いボンネットでシャープなデザインのクルマが数多く存在。
そこで、王道のクサビ型フォルムを採用したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●スバル「アルシオーネ」
1970年代から1980年代にかけてスバルは「レオーネ」を主力車種としており、デザインは質実剛健なイメージがありました。
そこで、1985年に同社初の本格的なスペシャリティカーとして「アルシオーネ」がデビュー。世界でも通用するスタイリッシュな2ドアクーペとして開発されました。
外観はまさに「クサビ型」と形容されるフォルムで、スバル車としては最初で最後となるリトラクタブルヘッドライトを採用。
見かけだけでなく、実際に空気抵抗を極限まで抑えるためにリトラクタブルヘッドライトを採用しており、空気抵抗係数であるCd値は0.29と、日本車で初めて0.3を下回る数値を達成しました。
ほかにも凹凸を排除したドアノブやドアミラー形状の最適化、後端を跳ね上げた形状のトランクハッチなど、さまざまな箇所に空力性能向上の施策が織り込まれています。
内装のデザインも斬新で、ダッシュボードやハンドル周りは飛行機のコクピットをイメージしており、シフトノブは操縦桿のような形状です。
駆動方式はFFと4WDが設定され、エンジンは当初1.8リッター水平対向4気筒ターボのみでしたが、後に同社初の2.7リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンを追加ラインナップしました。
また、トップグレードには車高を自動で調整するエアサスペンションが採用されるなど、先進技術も搭載。
そして1991年に、2代目にあたる美しいクーペの「アルシオーネSVX」にバトンタッチされました。
●マツダ初代「サバンナRX-7」
1967年にマツダは世界初のロータリーエンジンを搭載した量産車「コスモスポーツ」を発売。その後、ロータリーエンジンはさまざまな車種に展開されました。
そして、1971年には若者世代にも訴求するロータリーエンジンのGTカー「サバンナ」が誕生。レースでの活躍もあって、ロータリーエンジンが高性能であることを証明しました。
このサバンナの後継車として1978年デビューしたのが「サバンナRX-7(SA22C型)」です。
外観はコンパクトなロータリーエンジンの長所を生かした低いボンネットと、その先端に配置されたリトラクタブルヘッドライトが特徴で、イタリアのスーパーカーを思わせるフォルムです。
リアのグラスハッチと相まって、スポーツカーらしいスピード感あふれるシャープなサイドビューも斬新でした。
また、FRながら前後重量配分を50:50付近に設定するなど、走りのポテンシャルも高められています。
その後、排出ガス規制強化の対応が落ち着いた1983年には、最高出力165馬力(グロス)を発揮するターボ仕様が加わり、動力性能も2リッターのレシプロエンジン車と肩を並べ、1985年には2代目となるFC3S型へバトンタッチしました。
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