レクサス初EV「UX300e」通常販売スタート! ガソリン/ハイブリッドとは異なる魅力はどんな部分?
ガソリン車/ハイブリッド車とはどう違う?
プラットフォームはガソリン車/ハイブリッド車と同じTNGA「GA-C」をベースにEV用に最適化。
具体的にはバッテリーパック搭載のために鋼鉄製アンダーフレームをプラス。バッテリーとフロアを面で固定することで、結果としてキャビン全体の剛性も引き上げられています。
さらにフロント周りはモーター搭載用クロスメンバーの採用やステアリングギアボックスのブレース追加とリジット化、リア周りはリアクロスメンバー/バンパー強化と専用パフォーマンスダンパー採用などで、車両全体の剛性バランスも整えられています。
この体幹を鍛えた車体に摩擦特性を最適化したショックアブソーバー採用の専用サスペンションと、タイヤはガソリン車/ハイブリッド車とは異なる225/50R18サイズのミシュランプライマシー3(非ランフラット)を採用(バージョンLに標準、バージョンCはオプション)。
フットワークはガソリン車(UX200)がヒラリした軽快さや身のこなし、ハイブリッド車(UX250h)が穏やかだが重厚でシットリしたクルマの動きが特徴ですが、UX300eはこの2台のいい所取りなのに加えて、ハンドリングの一連の動きが「より精緻」、「より滑らかな」になっています。
具体的には軽い操作力ながらも直結感の高いステアフィール、アタリの柔らかさとストローク感が増したようなしなやかな足さばきと、ドシッと構える安定感を持ちながらも、鼻先の軽さを感じるノーズの入りの良さなどを感じました。
レクサスの走りは「すっきりと奥深い」がテーマになっていますが、UXのなかで最も実現されているのだけでなく、スムーズに動く足の動きに関しては、フラッグシップである「LS」を超えるレベルかもしれません。
この辺りは前後重量配分の適正化や低重心化、さらに慣性諸元の高さ(重量物が車両中心に集まる)などからロール感が減ったうえに4つのタイヤの効果的な活用、さらには振動の原因となるエンジンが無いことなどが統合的に効いていると思われます。
ただ、一度だけ気になるシーンがあり、高速道路での定常走行時にある路面の凹凸とショックの吸収の周期が真逆になり、スーッと滑らかだった走りが一転してヒョコヒョコした動きが収まらない状況ありました。
ほかの路面で再現しようとしても出てこなかった現象なのでちょっと気になっています。
価格はバージョンCが580万円、バージョンLが635万円と、ハイブリッド車の同グレードと比べると約100万高というイメージです。
ただ、個人的には航続距離(=バッテリー容量)とのバランスを考えると、意外とコスパは高いように感じました。
UX300eは、ボディサイズ、動力性能、乗り味、そして航続距離とトータルで見たときに、内燃機関モデルから違和感なく乗り換えができそうなEVだと思います。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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