なぜ日産「マーチ」の販売が堅調? 10年選手もコロナと安価で需要復活か

その可愛らしい見た目からかつて圧倒的な人気を誇った日産「マーチ」ですが、コロナ禍の2021年1月に前年比115%の販売台数を記録しました。なぜ、今になって売れているのでしょうか。

なぜ登場から10年以上の「マーチ」に関心が集まる?

 かつて、その可愛らしい見た目から圧倒的な人気を誇った日産の歴代「マーチ」ですが、2010年に登場した4代目以降は影の薄い存在となっていました。
 
 しかし、新型コロナ禍が続く2021年1月に前年比115%の販売を記録。なぜ、今になってマーチの販売台数が伸びたのでしょうか。

安全面が向上したことで、安価なガソリン車を好むユーザーからの関心が高まっている日産「マーチ」
安全面が向上したことで、安価なガソリン車を好むユーザーからの関心が高まっている日産「マーチ」

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表した2021年1月の登録車販売台数ランキングでは、トヨタ勢が絶好調で、トップ10のうち8車を占め、それ以外のメーカーでは6位に日産「ノート」、10位にホンダ「フィット」がランクイン。

 つい上位のランキングばかり目がいってしまいますが、50位にマーチがランクインしました。

 自販連の発表はトップ50までしか掲載されておらず、2020年のマーチの実績は1月に50位649台(前年比64.0%)、2月に49位745台(前年比56.0%)、9月に47位762台(前年比95.3%)、10月に472台(前年比110.5%)の4回のみがトップ50に入っています。

 4代目マーチは先代までと異なり、生産は日本国内ではなく、タイや中国、インドなどの工場でおこなわれています。

 レイアウトの最適化とシンプルなボディ構造を追求し新開発された「Vプラットフォーム」を採用しているほか、低重心化とタイヤを四隅に配列したデザインで、コンパクトでありながら踏ん張り感のある見た目が特徴です。

 また、マーチの大きなアイデンティティである丸型ヘッドランプやアーチを描くサイドウィンドウは、前身の「フレンドリー」を継承しており、先代モデルに近いデザインとなっています。

 マーチが注目を集めるひとつめの要因として、マーチは2020年7月16日に一部仕様変更を実施しています。

 その内容は、前方の状況を監視し、車両や歩行者との衝突回避・衝突による被害軽減を支援する「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や、前進時には壁などの構造物だけでなく、歩行者も検知、後退時にも障害物を検知し、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる前方・後方への急発進を抑制し、衝突回避を支援する「踏み間違い衝突防止アシスト」を全車標準装備。

 さらに、「ハイビームアシスト」や「LDW(車線逸脱警報)」などの先進安全技術も全車標準装備としたことで「セーフティ・サポートカーS<ワイド>(サポカーS<ワイド>)」に該当。

 これにより、近年関心の高まっている安全機能が追加されたことや、政府が高齢運転者の交通事故防止対策の一環として推進する制度「セーフティ・サポートカー(サポカー)」に当てはまりました。

 さらに、マーチは登場から10年以上経過していることもあって値引きもより「柔軟」に対応可能のようです。

 日産の販売店スタッフは次のように話します。

「マーチを購入する際、下取り価格次第で車両価格が100万円を切ったケースは何件かありました。

 価格重視の人や、中古じゃなくて新車派、というお客さまには大変好評いただいています。

 ただし、製造が海外ですので、国内に在庫がない場合は取り寄せとなります。そうなれば納車までに大体4か月から5か月程度かかりますので、注意が必要です」

 これらの要因から7月の一部仕様変更の影響を受け、納車待ちの時間を考慮すると2020年秋から2021年始めに登録販売台数が伸びたといえます。

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