「チゼタ」に「スピードテール」「ルーフ」…誰もが憧れるスーパーカーのお値段ハウマッチ?
過走行でも車種によっては落札価格に影響なし!
●2019 ケーニグセグ「レゲーラ」
今回のオークション「ARIZONA」に出品されたスーパーカー&ハイパーカーで、もっともジャッジが難しかった1台が、ケーニグセグ「レゲーラ」であるかもしれない。
その理由は、ハイブリッドであるという点にある。0−400−0km/h加速・停止の世界記録31.49秒を打ち立てたレゲーラであるが、純粋な内燃機関と違って、エレクトリックモーターならびにハイブリッドの技術は最新が最善であり、さらにイノベーションも日進月歩とあって、わずか数年で最新・最高レベルの技術が霞んでしまうことも珍しくない。スマートフォンなどの電化製品の進歩を思い浮かべてもらえば、納得してもらえるだろう。
チゼタV16TのV型16気筒エンジンは、すでに現在の技術からするとたいしたものではないかもしれないが、そのエンジンだけが持つ特有のフィーリングなどが、コレクションする側にとっては重要である。しかもV型16気筒エンジンを搭載するクルマはそうそう存在しておらず、それだけで価値があるのだ。
今回出品されたレゲーラは、2016年から2020年までの間に80台が生産されたモデルの内の1台となり、2019年式の個体である。走行距離が200マイル(約320km)未満という、新車同然の個体に付けられた予想落札価格は260万−290万ドル(邦貨換算約2億7000万−3億円)であったが、流札となった。現在は270万ドル(邦貨換算約2億8000万円)で継続販売中となっている。
●1998 ルーフ「ターボR」
最後に紹介するのが、ルーフが作った1998年式の「ターボR」だ。ドイツ・ファッヘンハウゼンにあるルーフ本社工場で生産された、ポルシェ「993」ベースのターボRは、RMオークションの調べではわずかに14台のみであるという。
いわゆるエキゾチックカーと呼ばれるようなスーパーカーとは違い、ルーフのようなスーパーカーを新車で購入するカスタマーは、自分で運転することが前提だ。この個体もデリバリー後約10年間で、3万6902マイル(5万9388km)を走行した後、カリフォルニア州ハンティントンビーチにある、気温や湿度管理もおこなわれる倉庫に2008年から保管されていたという。
その後、2020年にレストアを終了し、550マイル(855km)の走行がプラスされている。
このルーフに付けられたエスティメート(予想落札価格)は、52万5000−57万5000ドル(邦貨換算約5440−5960万円)であったが、最終的な落札価格は76万4000ドル(邦貨換算約7920万円)であった。
993型911の3.6リッター水平対向6気筒に、独自のツインターボ・システムを組み合わせ、最高出力490ps、最大トルク450Nmにまで高められ、6速MTのトランスミッションが組み合わせられたルーフ ターボRは、コレクションしてガレージに飾っておくよりも、積極的にドライブを楽しむクルマであろう。
ポルシェは(この個体はルーフだが)走行距離が伸びたとしても、きちんとレストアしてあれば、オークション・マーケットではマイナス要因になることが少ない。それは、ポルシェ自体の機械的信頼と運転して楽しむクルマであるという評価の表れなのであろう。今回紹介した5台のうち、新車同然の走行距離である他の4台と違い、過走行ともいえるルーフだけが、予想落札価格を大きく上回っていたのは、なんとも象徴的である。
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