トヨタだけなぜ新型車ラッシュ続く? 「アクア」「ランクル」「ノアヴォク」人気車を続々投入の訳

新型SUV登場? 人気ミニバン、ノアヴォク&アルヴェルはどうなる?

 4台目は「カローラクロス」です。2020年7月にタイで世界初公開、同国で発売が開始されたモデルですが、プレスリリースにはこのように記されています。

「今後、順次、導入国を拡大してまいります」

 数年前までクロスオーバーSUVが手薄だったトヨタですが、C-HR以降ライズ、RAV4/ハリアー、ヤリスクロスとラインアップの拡充をおこなっています。

 しかし、もっとも激戦区と呼ばれるCセグメントは変化球のC-HRのみで、実は直球勝負できるモデルがありませんでした。

 ちなみに海外向けのカローラツーリングにはクロスオーバー化された「カローラTREK」が用意されています。

 ただし、オンロード志向でC-HRとキャラクターが被る可能性があるという判断から、カローラクロスに白羽の矢が立ったと考えるのが素直でしょう。

 外観は力強さと洗練さをバランスよく両立。全長4460mm×全幅1820mm×全高1620mmと全幅以外は扱いやすいサイズです。

 カローラファミリーというよりもミニRAV4といった雰囲気がありますが、昔の「スプリンターカリブ」のような立ち位置と考えれば納得といった感じだと思います。

 タイ仕様のパワートレインは1.8リッターガソリンと1.8リッター+モーターのハイブリッド、プラットフォームはGA-C(リアサスがトーションビーム仕様)となっていますが、日本向けはどのような組み合わせになるのでしょうか。

 個人的にはカローラの上級仕様であることを踏まえれば、パワートレインはガソリン/ハイブリッド共にダイナミックフォース(2リッター)、リアサスはダブルウィッシュボーンの採用を期待したいところです。

 5台目はトヨタのミドルサイズミニバン3兄弟「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」です。

 現行モデル2014年(エスクァイアは2017年)登場でモデルライフ末期ながら好調なセールスを続けていますが、古さは否めません。

 新型は現行モデルの使い勝手の良さ/扱いやすさを継承しながら、メカニズムはパワートレイン(2リッターダイナミックフォースエンジンと同エンジン+モーターのハイブリッド)、新プラットフォーム(GA-C)と刷新され、「走る/曲がる/止まる」の性能は大きくレベルアップ。

 とくに“曲がる”に関しては背の高さを感じさせない安定・安心の走りを実現しているようです。

 ちなみに現行モデルでは4WDはガソリン車のみでしたが、新型では雪国待望のハイブリッドとの組み合わせ(E-Four)も用意されるようです。

 また、現行モデルではライバルに対してウィークポイントだった安全支援機能も最新スペックが奢られます。

 ちなみにトヨタは2020年5月から国内全系列の全車扱いがスタートし、すでにラインナップの統廃合が進められています。

 企画段階ではノアに一本化、グレード毎にふたつのフロントマスクを用意する計画だったと聞きますが、全車扱い以降も煌びやかなフロントマスクのヴォクシーの人気が高いことから続投が決定したようです。しかし、エスクァイアはノアに統合(=高級志向になる!?)される形でラインナップ落ちだといいます。

2021年にフルモデルチェンジ!? ノア/ヴォクシー/エスクァイアはどうなるのでしょうか。
2021年にフルモデルチェンジ!? ノア/ヴォクシー/エスクァイアはどうなるのでしょうか。

 6台目は「アルファード/ヴェルファイア」です。ラージサイズミニバンとして登場したモデルですが、今や高級セダンと同じ、いやそれ以上のポジションを築き上げたモデルです。

 現行モデルの登場は2015年とモデルライフ終盤となっていますが、2020年販売台数で2台を合算すると10万8752台。これは1位ヤリス、2位ライズ、3位カローラに続いて4位の記録です(アルファード単体だと5位の9万748台)。

 しかし、その一方で走りの部分は現行モデルで大きくレベルアップされたものの、「高級セダン並みか?」といわれると、課題がなかったわけではありません。

 現行アルファードはリアサスをダブルウィッシュボーン式に変更、構造用接着剤なのでボディ剛性アップなどがおこなわれましたが、元を辿れば現行ノア/ヴォクシー/エスクァイアやプリウスαが採用する新MCプラットフォームで、色々な部分に限界があったのも事実です。

 そこで新型はプラットフォーム/パワートレイン共に刷新されます。恐らくTNGAのメリットなどを考えると、基本的な部分は北米専用ミニバン「シエナ」と共通と考えていいでしょう。

 つまり、プラットフォームは「GA-K」、パワートレインは高出力化されたダイナミックフォースエンジンの2.5リッター直列4気筒と同エンジン+モーターのハイブリッドの組み合わせは間違いないでしょう。ただし、301馬力を誇る3.5リッターV型6気筒は環境適合の関係上、残念ながらラインアップ落ちでしょう。

 ちなみに内外装はキープコンセプトで、「よりダイナミックに」、「より豪華」に進化しているそうです。

 ちなみに弟分の「ノアヴォク」兄弟は継続されますが、アルヴェル兄弟は統合されアルファード一本となりヴェルファイアはモデル落ちとなる可能性が濃厚です。

 ここ数年、アルファードの圧倒的な販売比率の高さが故の判断でしょう。ただ、ヴェルファイアのファンが離れないように、ヴェルファイアに相当するカスタム系グレードが用意されるようです。

※ ※ ※

 そして最後は「シエンタ」です。トヨタ最小の3列ミニバンで現行モデルは2015年に登場。

 アルヴェルと同じくモデルライフ終盤ながらも2020年販売台数は7万2689台とトップ10入り。ただ、ライバルのホンダ「フリード」(2016年登場)の7万6283台に僅かに負けているのも事実です。

 外観は現行モデルが好評なことからキープコンセプトと噂されていますが、詳細は残念ながら解りません。

 内装は現行モデルの課題から推測すると、2列目/3列目の居住性向上が目標となっているはずです。

 メカニズムはヤリスと同じく、パワートレインはダイナミックフォースエンジンの1.5リッター直列3気筒と同エンジン+モーターのハイブリッドの2本立てとなるでしょう。

 プラットフォームはGA-Bなのは間違いありませんが、気になるのはホイールベースです。

 現行シエンタは2700mmですが新型では居住性アップを考えるともう少し伸ばしたいところです。

 ただ、現在販売中のGA-B採用モデルはヤリスが2550mm、ヤリスクロスが2560mmと比較的短めのホイールベースなので、ロングホイールベース化が走りにどう影響するのかは気になる部分です。

※ ※ ※

 これらのモデルが登場するとTNGA化はほぼ完了となります。豊田章男社長がいう「もっといいクルマづくり」は確実に花が開き、トヨタ車の評価も以前とは大きく変わっています。

 ただ、トヨタはここで手綱を緩めることはありません。すでに2順目がスタンバイ中となっています。

 プリウスからスタートした1順目は「クルマの走りを正しい方向をリセット」の期間で、2順目からが本当の意味での「100年に一度の大改革」だと筆者は思っています。

 そう思うと、2020年に日本中を賑わした「クラウンが変わる」という報道も想定内に思えてくるのです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1件のコメント

  1. >86に関しては現時点ではノーアナウンスです
    多分これって、設計や製造をしているスバルに対する礼儀だと思う。ダイハツと違い、完全子会社ではないし。BMW(Supre)の時と同じかな。
    >アクア『ブランド力』の高さに驚きました→ 継続
    一度つかんだ獲物は逃さない。貪欲さと同時にフレキシビリティを感じる。

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