日本ではすでに絶滅!? 自然吸気エンジン+MTの高性能セダン5選
近年、ミニバン、軽トールワゴン、そしてSUVが定番人気車種となりました。その反面、売れていない車種としてセダンが挙げられますが、かつて、セダンは人気車種として隆盛を極めており、各メーカーから多種多様なモデルが展開されていました。そこで、自然吸気エンジンとMTを組み合わせた高性能セダンを、5車種ピックアップして紹介します。
NAエンジンにMTを組み合わせたスポーツセダンを振り返る
現在、日本の自動車市場で人気の車種といえば、軽トールワゴン、ミニバン、コンパクトカー、SUVが挙げられます。その反面、急激に数を減らしてしまったのが、クーペ、ステーションワゴン、そしてセダンです。
また、同じく激減してしまったのが、高出力の自然吸気(以下、NA)エンジンとマニュアルトランスミッション(以下MT)で、国内外のハイパフォーマンスモデルでは、ターボエンジンとDCTもしくは多段ATの組み合わせが定番になっています。
一方で、かつてはセダンにNAエンジンとMTを搭載したモデルが多数存在。そこで、いまではほとんど見られなくなった高性能NAエンジン+MTのパワートレインを採用した往年のセダンを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「シビックタイプR」
1992年にホンダは、「NSX」をさらにチューンナップしたモデル「NSXタイプR」を発売。日常での使い勝手をほとんど考えずにサーキット走行を主眼に開発されたストイックさが、走り好きの心を捉えました。
そして、高額なNSXでは手が出ないユーザーに向け、1995年に「インテグラタイプR」、そして1997年には「シビックタイプR」が登場し、ヒット作となります。
2007年に3代目となるシビックタイプRが登場すると、ボディは4ドアセダンを採用。
225馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを搭載し、6速MTが組み合わされ、シャシのチューニングもこれまでのタイプRシリーズのコンセプトを継承し、優れた走行性能を実現しました。
外装は専用のエアロフォルムバンパーと巨大なリアウイングが装着され、スポーティさをアピール。
内装にはスポーツシートや専用の本革巻ステアリング、アルミ製シフトノブを採用したショートストローク・スポーツシフト、メタル製スポーツペダル&フットレストなどを装備することで、戦うコクピットを演出しています。
4ドアセダンということから多少は実用的かと思われましたが、公道での走行ではハードすぎるサスペンションなど、ファミリーカーにはなり得ませんでした。
3代目シビックタイプRは2010年に生産を終了し、これが最後のNAエンジン、そして日本製タイプRとなってしまい、いまでは希少なモデルといえます。
●スバル「レガシィB4 3.0R」
1989年に誕生したスバル初代「レガシィ」は高性能エンジンと4WDを組み合わせたことで、スポーティなセダン/ステーションワゴンというイメージを確立。
そして、2003年に登場した4代目では、シリーズ初の3ナンバー専用ボディとなり、「ボクサーサウンド」と呼ばれる独特の排気音が消えたことで、より上質なセダン/ステーションワゴンへと生まれ変わりました。
その上質さをさらに高めたのが、同年にセダン/ステーションワゴンともに追加ラインナップされた「3.0R」です。
3.0Rは最高出力250馬力を発揮する3リッター水平対向6気筒NAエンジンを搭載し、スムーズなフィーリングながら発売当初は6速MTのみとされるなど、スバル車らしい一面もありました。
さらに、2004年には、専用チューニングのビルシュタイン製ショックアブソーバーや、専用の外装パーツ、18インチホイールを装備する「3.0R Spec B」が登場します。
大排気量NAエンジンに6速MTを組み合わせ、締め上げられたサスペンションという、まさに大人のためのスポーツセダンでした。
●トヨタ「マークX“GRMN”」
トヨタのセダンラインナップのなかで「カローラ」と「クラウン」の間に位置し、長年にわたってヒットを続けていたモデルが「マークII」です。
2004年には車名が「マークX」に改められ、NAエンジンのみを搭載するFRセダンへと変わり、2009年には同様のコンセプトの2代目が登場。
この2代目マークXには、2015年にハイパフォーマンスセダンの「マークX“GRMN”」が100台限定で発売。さらに2019年には350台が限定販売されました。
搭載されたエンジンはベースの「マークX 350RDS」と同じ3.5リッターV型6気筒NAで最高出力318馬力を発揮し、組み合わされるトランスミッションは6速MTのみです。
エンジンは出力特性が変更されるに留まってしましたが、シャシは252か所におよぶスポット溶接打点の追加によって剛性アップが図られ、新開発のショックアブソーバーを採用した専用サスペンション、パワーステアリング特性のチューニングなどが施されており、高い走行安定性とコーナリング性能を発揮。
また、外装は専用のバンパーに、4本出しマフラー、19インチ鍛造ホイールが装着され、内装は専用スポーツシートなどブラックを基調とした意匠により、一段とスポーティに演出されています。
しかし、人気の低迷から2019年の末にマークXは生産を終了し、マークIIから続いた半世紀以上の長い歴史に幕を閉じました。
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