トヨタの未来都市「ウーブンシティ」ついに2月着工! 巨大自動車会社の大きな転換期に
トヨタの歴史上、ウーブン・プラット・グループの発足は大きな転換期となる
このウーブンシティ事業を取りまとめているのが、ウーブン・プラネット・ホールディングスのシニアバイスプレジデント、豊田大輔氏です。名前から分かるように、豊田章男社長のご子息です。
大輔氏は2020年1月の東京オートサロンで、豊田社長と共にモータースポーツ関連でのトークショーに登壇したことがありますが、これまではメディアに登場することはほとんどありませんでした。
今回のウーブン・プラネット・グループでの発表では「幸せがあふれる街を、思いを共にする仲間と一緒に作っていこうと思います」とやさしく語りかけました。
グループ全体としての目指す方向である「Mobility to LOVE, Safety to LOVE」のなかで、人中心の町の在り方、そこに自動車メーカーが新しい価値をどのように創造していくのかを、関係者がひとりひとりの私事として捉え、ウーブンシティとして見える化といいます。
また、今回の発表で注目されたのが、ソフトウェア開発のプラットフォーム「アリーン」です。
アリーンは、アップルのiOSや、グーグルのアンドロイドのようなオペレーティングシステムとしての要素や、ソフトウェア開発でのツール機能を持っており、自動車のソフトウェア開発で新しいエコシステムを築くものだといいます。早期の実用化に向けて現在開発中です。
この分野には、競合企業が多くいますが、アリーンはトヨタ向けのみならず、柔軟な活用を提供するもので、自動車産業界だけでなくIT産業を含めて幅広く普及させることが、ウーブン・プラネット・グループの戦略です。
当然、アリーンはウーブンシティのような、いわゆるスマートシティでの都市OS(オペレーティングシステム)とも密接に関係することになるでしょう。
今回の発表と発表後の質疑応答を通じて、筆者(桃田健史)が改めて強く感じたのは、これからの自動車メーカーは、ソフトウェアを総括的に管理するシステムの開発を事業全体のなかでどう捉えるかで、自動車メーカーとして勝ち組と負け組が明確に分かれてしまうことです。
自動車メーカーとしては、ハードウェア製造者という現実を踏まえたうえで、IT大手の米GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)や、中国BAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)などと、真っ向勝負ではなく、友好関係を維持しながら、自動車メーカーとしての生き残るための緻密な戦略が必要だと感じます。
その意味で、ウーブン・プラット・グループの発足は、トヨタの歴史上、大きな転換期を意味するのではないでしょうか。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
新たな都市を作るのは、様々な大きな夢を織り込めて素晴らしい作業です。将来のモデルケースとすべくトヨダに是非、頑張って欲しい。