もっと売れてもおかしくないはず? 期待したほどヒットしなかった車3選
新型車がヒットするかしないかは、さまざまな要素が複雑に影響します。たとえば、時代背景であったり、流行、ライバルの存在、発売するタイミングなどが関係するでしょう。一方で、ライバル不在で絶妙なタイミングだったにも関わらず、思ったよりもヒットしなかったクルマも存在。そこで、発売前後は話題になったものの意外と伸び悩んでしまったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
鳴り物入りのデビューながら、思ったほどヒットしなかったクルマを振り返る
ヒットしたクルマとそうでないクルマには、思ったよりも大きな違いが存在しないケースがあります。発売時期のちょっとしたタイミングや、価格やわずかなスペックの差、ニーズの変化など、ヒットに至らない理由はさまざまな要素が複雑に絡み合っています。
一方で、前評判が高くて鳴り物入りでデビューしたにも関わらず、発売後はそれほど売れなかったクルマや、ライバル不在でもそれほど需要が無かったクルマも存在。
そこで、発売前後は話題になったものの意外と伸び悩んでしまったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「CR-Z」
2010年に発売されたホンダ「CR-Z」は、コンパクトな3ドアハッチバックのハイブリッド専用車で、優れた環境性能だけでなく、運転する楽しみも重視するというコンセプトで開発されたモデルです。
外観は往年のライトウエイト・スポーツカーである2代目「CR-X」をイメージさせる、3ドアハッチバッククーペで、発売当初はネーミングからしても「CR-Xの再来か」とも評されました。
パワーユニットは114馬力の1.5リッター直列4気筒エンジンに、14馬力のアシスト用モーターが組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、駆動方式はFFのみでトランスミッションはCVTと、ハイブリッド車では世界初の6速MTを採用。
そして、2012年のマイナーチェンジでエンジンを120馬力(MT車)、モーターを20馬力と出力の向上がおこなわれ、同時に、F1の「オーバーテイクボタン」のように、ハンドルに装備されたボタンを押してアクセルを少し踏み足すことで、力強い加速を瞬時に得られる「PLUS SPORTシステム」が搭載されました。
発売直後はホンダとしても久しぶりとなるスポーツモデルとして人気が上昇しましたが、1130kg(MT車)という車重ではライトウエイトとはいえず、CR-Xほどシャープな運動性能は発揮できなかったことから、一定の評価は得られたものの販売は徐々に低迷。
後継車は無いまま2016年に生産を終了、その後も同様なコンセプトのモデルは発売されていません。
●トヨタ「アルテッツァ」
トヨタの小型FRスポーツといえば「86」ですが、その原点となるモデルが1983年から1987年まで販売していた「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」です。
AE86型は新車で販売されていた時、じつは圧倒的な人気があったわけでなく、むしろ後継車のFFモデルであるAE92型が発売された後に再評価されたといえます。
その後、再び小型FR車を望むユーザーの声も高くなったことから、トヨタは1998年に「アルテッツァ」を発売し、その声に応えました。
アルテッツァはFRの小型セダンということに加え、スタイリッシュなフォルム、6速MTが設定されたことなど、発売前から話題が先行します。
発売当初のグレード構成は、「RS200」と「AS200」のふたつを基本とし、RS200はスポーティ路線、AS200はジェントルな乗り味とされ、搭載されたエンジンは、RS200が最高出力は210馬力(MT)の2リッター直列4気筒で、AS200には160馬力の2リッター直列6気筒を搭載。トランスミッションは、RS200が6速MTと5速AT、AS200は4速ATの設定でした。
アルテッツァはコンパクトなFR車を待ち望んでいたユーザーに絶賛されましたが、初動の販売台数は好調だったものの、ユーザーにいきわたると販売台数は落ち着いてしまいました。
その後、販売台数は徐々に減少し、2001年にはステーションワゴンの「アルテッツァ ジータ」も投入されましたが、大きく販売台数を伸ばせず、2005年に生産を終了。
後継車はプレミアムセダンへとコンセプトが一新されたレクサス「IS」で、再びスポーティなコンパクトFR車は2012年の86登場まで待たなければなりませんでした。
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