ソニーが車を本気で開発? 「ビジョンS」テストの目的とは 市販化は「ファブレス化」が鍵を握る?
ソニーは試作車「ビジョンS」の公道テスト走行を欧州で開始したと、家電・ITの世界最大級見本市「CES2021」で発表しました。自動車メーカーではないソニーがクルマを本気で開発する狙いはいったいなんでしょうか。また、量産化の可能性はあるのでしょうか。
ソニーのクルマが量産される可能性はある?
ソニーが開発したドローン「Airpeak」で撮影したテストコース上空からの映像。そこに、欧州オーストリアのナンバープレートを付けたソニーのクルマ「VISION-S」(ビジョンS)の姿が見えます。
その後、ビジョンSは工業団地の敷地内を通り、雪深い山間部のワインディング路へと進んでいくというストーリーが展開されます。
これは、ソニーが米ラスベガスで開催された家電・ITの世界最大級見本市「CES2021」(2021年1月)のオンライン会見で紹介した、ビジョンSの実車が公道を走行する模様です。CG映像ではなく、リアルワールドでの出来事です。
ビジョンSは、1年前に開催されたCES2020で世界初公開され、その後に日本でも報道陣向けに実車が公開されましたが、公道を走行する様子が確認できたのは、今回の映像が初めてとなります。
ソニーとしては、自動運転レベル2による高度な運転支援システムに不可欠なイメージセンサーを量産しており、その技術を活用したEVの実験車両としてビジョンSを位置付けてきました。
ただ、直近では米アップルが韓国ヒュンダイに対して自動運転EVの生産を依頼することが決まったという一部報道があり、またグーグルのグーグルカーによるロボットタクシー事業の本格始動に向けた準備段階にあるなど、IT大手の自動車産業への参入が大きな話題となっています。
そうしたなかで、ソニーのクルマに量産の可能性はあるのか、気になるところです。
まずはビジョンSに対するソニーの狙いについて、CESでのプレゼンテーション、決算報告書、また投資家向けの事業計画書など、ソニーがこれまで公開している内容をまとめてみます。第一の狙いは、イメージセンサー事業の「見える化」です。
2020年10月時点での、ソニーのセグメント別の2020年度売上見通しは次の通りです。
・ゲーム&ネットワークサービス:2兆6000億円
・音楽:8500億円
・映画:7600億円
・エレクトロニクス・プロダクト&ソリューション:1兆8700億円
・イメージング&センシング・ソリューション:9600億円
・金融:1兆4600億円
売上高は連結で8兆5000億円となります。
このうちイメージング&センシング・ソリューションでは、モバイル機器やデジタルカメラ、さらに自動車の各種センサー向けなどが含まれます。
車載センサーについては、半導体メーカーなどによる競争が激しくなっています。
半導体大手の米オン・セミコンダクターがスバルのアイサイトX試乗会の際に示した資料では、車載イメージセンサーではソニーのシェアは3.0%、センシングカメラでは5.1%、そしてリアビューや全周囲カメラでは2.2%にとどまっており、まだまだ伸びしろがあります。
ただし、ゲームや家電ではソニーは有名でも自動車向けでは、最終組立をおこなうOEM(自動車メーカー)、デンソーやボッシュなどの大手部品メーカー(ティア1)に対して、ソニーの立場はティア1に部品を提供するティア2という裏方としての存在であり、一般的な認知度は高くありません。
そこで、ソニーの得意な音響・映像のエンターテインメント機器も含めて、ソニーのクルマというショーケースとしたのがビジョンSなのです。
作って開発に使うのはメリットがある。
センサーの性能や消費する電力の確認やバッテリーの性能・開発はある程度、自分でしないと交渉で強気に出れない。
ただ売るのにメリットがあるか言えばほとんどない。
値引きだ、ディーラー網だ、サービス網だと言えば金がかかるし、タイヤだガラスだと総合商品でそのメーカとの取引も膨大なるし、今後販売はさておいいぇもサービス10年20年と続けないといけないから、家電よりも期間がいるし、当然細かい部品でも長期にわたって保有しないといけない。
それを考えれば手を出さないのでは?