一見さんお断り フェラーリ「エンツォ」を新車で購入できた人とは?

フェラーリのスペチアーレには走行距離は関係ない!?

 リアミッドに搭載されるエンジンは、F140B型と呼ばれるV型12気筒で排気量は5998ccである。ちなみにこのエンジンは、「712Can-Am」以来フェラーリが製作したもっとも大きな排気量のエンジンで、ボア・ストローク比は0.82。F50と同様にショートストローク型のエンジンに仕上げられている。

●2003 フェラーリ「エンツォ」

フェラーリ「エンツォ」のテール部には可変式のリアフラップが備えられており、最大で75mm、自動的にアップする仕組みとなっている(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
フェラーリ「エンツォ」のテール部には可変式のリアフラップが備えられており、最大で75mm、自動的にアップする仕組みとなっている(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 吸排気の両側に連続可変バルブタイミング機構を持つほか、吸気管長の切り替えによる可変慣性過給システム、さらには独立型コイルを組み合わせたプラグを等長配置するなど、さまざまな新技術がこのユニットには採用されている。

 最高出力は660ps、最大トルクは657Nmというのが、当時発表されたデータだった。組み合わせられるミッションは6速のF1マチック。このパワーユニットとプッシュロッド式のダブルウイッシュボーンサスペンション、そして当時F1GPでのパートナーであったブリヂストンが専用開発したタイヤ、ポテンザRE050Aスクーデリアが、350km/h以上の最高速を実現するために大きく貢献した。

 RMサザビーズによると、この2003年式エンツォ・フェラーリは、同年3月にマラネロから出荷された後に、アメリカのノースカロライナ州のカスタマーへと渡ったという。

 このカスタマーは、ほかにも「512S」、「312P」、「333SP」、「250GT SWB」などをコレクションする生粋のフェラーリスタ。エンツォの購入リストに名を連ねるのには、何の問題もなかったに違いない。

 後に彼は5300マイル(約8480km)を走行した後に、このエンツォを売却。現在のオーナーは1万1400マイル(約1万8240km)で、今回のアリゾナ・オークションにこのエンツォを出品したが、はたして創業者の名を掲げた特別なフェラーリには、現在どれだけの価値が認められるのだろうか。

 参考までにRMサザビーズは、その予想落札価格を225万−250万ドル(邦貨換算約2億3000万円−2億6000万円)と提示しているのだが。世界でわずかに400台しか存在しないエンツォ。その価値はそれに相応する可能性が高い。オークション結果が楽しみな1台だ。

【画像】一見では購入不可だった「エンツォ」とは(30枚)

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