トヨタとスズキ、結局「どっちが良いの?」 ルーミー&ソリオの絶妙に異なる魅力とは
走りでも絶妙な違いが存在するルーミーとソリオ。
走り出すと、静粛性や加速感にも違いが。静かさはソリオに分があります。
これは新型へのモデルチェンジでエンジンルームやリヤフェンダーへの吸音材の追加をはじめとする騒音対策の効果でしょう。
またエンジン自体もソリオが4気筒なのに対してルーミーは3気筒で細かい振動を感じる状況があり、快適性の面もソリオ優勢です。
エンジン排気量はソリオが1.2リッターなのに対し、ルーミーは1リッター。ランニングコストでは自動車税の区分が1クラス下となり毎年の自動車税額が5500円安く済むルーミーにメリットがありますが、自然吸気エンジン同士で比べるとパワーやトルクはソリオのほうが大きいのでその分加速は楽にできます。
いっぽうでルーミーにはターボエンジンが設定されていて、こちらはソリオの自然吸気エンジンに比べると力強い加速を実現。
高速道路の渋滞を通過することが多い人は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の違いにも注目したいところです。
新型ソリオには「ハイブリッドMZ」や「ハイブリッドMX」(スズキセーフティサポート非装着車を除く)にACCが標準装備されていて、渋滞時は停止までをサポートする全車速対応型となっています。ただし停止保持はおこなわれません。
いっぽう「カスタムG」と「カスタムG-T」に備わるルーミーのACCは、全車速対応に加えて停車中はドライバーがブレーキペダルを踏まなくても停止状態を保持する機能が組み込まれるなど、機能的にはワンランク上。同グレードのパーキングブレーキが電動式となっていることで実現しています。
ところで、このジャンルを開拓したのはソリオにほかなりません。
その使いやすさが評価され「スズキの小型車で最多販売モデル」へと成長しましたが、のちにルーミーが登場したことで販売面への影響はないのでしょうか。
ソリオは、先代モデルの販売が本格化した2016年の年間販売台数が4万8814台でした。
そして2017年にはルーミー&タンクが本格販売に入り約15万台を記録しましたが、ソリオは販売台数を落とすことなく4万9742台を販売。
続く2018年や2019年も約4万5000台と、コンスタントに売れていることが分かります。奇妙な現象ですが、ルーミー&タンクという刺客の登場による販売減はまったくないのです。
「確かに(ルーミーを)競合車と認識していますが、登場したからといってソリオの販売が減っているわけでありません。
ルーミーの登場によりこのジャンルの認知度が上がり、マーケットが拡大したと考えています」
新型ソリオの開発を担当したスズキの担当者はそう説明します。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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