東京オートサロン2021開催中止で改めて考える自動車ショーの近未来とは

世界5大自動車ショーでさえ近年は斜陽化している

 では、この先はどうなるのだろうか。

 まず、コロナ禍が納まらない限りは開催はあり得ない。モーターショーなどの自動車ショーは、多くの来場者があってはじめて黒字化するもの。来場者数を絞っては、主催者側の経済的負担が大きすぎる。

 また、どれだけ対策を施そうとも、感染リスクをゼロにはできない。もしも、イベント内でクラスターが発生してしまったら、大きな責任問題となる。またオンラインだけの開催で、どれだけの有償の参加者を獲得できるのかは誰もわからない。正直、コロナ禍のもとでの開催は難しい。

東京オートサロン2020、トヨタブースでのプレスカンファレンスの様子
東京オートサロン2020、トヨタブースでのプレスカンファレンスの様子

 それでは、コロナ禍が沈静化した後はどうなるのか。もちろん、イベントは再開されるが、かつてほどの高い注目度は望めないだろう。なぜなら、コロナ禍の前から、すでに世界の自動車ショーは斜陽化していたのだ。

 まだインターネットのない時代、自動車ショーは「世界へ情報を発信する」という役割を持っていた。デトロイト(アメリカ)、ジュネーブ(スイス)、東京(日本)、パリ(フランス)、フランクフルト(ドイツ)で開催されるモーターショーは世界5大ショーと呼ばれ、非常に高い注目を集めた。

 しかし、2010年代後半から、その存在感は徐々に小さなものになってゆく。「中国やアセアン(東南アジア諸国)市場の台頭」「ネットメディアの隆盛」など、いくつもの理由が重なり、気がつけば母国以外の自動車メーカーが顔を揃えるショーは、ほんのわずかなものとなってしまったのだ。

 実際、デトロイト、東京、パリ、フランクフルトのショーに参加するのは母国のメーカーばかり。また、中国でのモーターショーは、世界中の自動車メーカーが参加するけれど、その内容は完全に中国市場にフォーカスしたもの。あまりにドメスティックなため、他の国からすれば興味の持てるようなものではない。つまり、いつの間にか自動車ショーとは、国際的ではなく、開催する国内向けのものとなっていたのだ。

 そうした状況でも確実に盛り上がることができるのは、「これから自動車を買いたい」という人が多い新興国だ。中国は、世界最大の自動車市場になっているが、まだまだ伸びしろは大きい。また、アセアンやインドもモータリゼーションの到来は、これからが本番。つまり、中国やアセアン、インドのモーターショーは、これから先もまだまだ盛り上がることだろう。

 しかし、先進国は難しいのではないだろうか。先進国でいま、話題となっているMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)は、クルマを商品ではなくサービスとして見るという考えだ。いってしまえば、クルマの所有を前提としてしない。

 どんなクルマであるか? ということよりも、どんなサービスが利用できるか? ということで、クルマが公共サービスに近づくことを意味する。そうしたとき、新型車が並ぶモーターショーの注目度は当然のように下がっていくことだろう。実際のところ、東京をはじめ先進国のモーターショーは来場者数が右肩下がりになっている。

 ただし、自動車ショーでも、新車ではなく“カスタムカーの祭典”である東京オートサロンの人気はいまだ健在だ。また、東京オートサロンはアセアンへの進出も果たしており、そちらの人気も上々だ。そういう意味で、コロナ禍さえ沈静化すれば東京オートサロンの盛り上がりは復活するのではないだろうか。

 すでに世界の自動車ショーは、ドメスティック化が進んでおり、コロナ禍の鎮静後も、その傾向は変わることがないだろう。そして、沈静した後は、モータリゼーションのただ中にある新興国と、カスタムなどの趣味性の高いイベントだけが盛り上がるのではないだろうか。

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2件のコメント

  1. 記事なのに誤字 内容も薄い もっとちゃんとした記事にして欲しい。

    • このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
      一部修正いたしました。

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