「一緒じゃないの?」消臭剤の車用と家庭用は何が違う? 「絶対NG」な使い方とは

消臭剤や芳香剤の代表的なブランドを見ると、家庭用のほかに「クルマ用」と使用用途が明示されているものがあります。ユーザーから「クルマ用と家庭用の成分は一緒では」という声も聞かれますが、果たして本当に同じものなのでしょうか。

クルマ用と家庭用で何が違う?

 ファブリーズに代表される消臭剤や芳香剤には、同じブランドでもクルマ用と家庭用があります。

 SNSなどで「クルマ用って書いてあるけど中身は一緒」「家庭用の方が断然安い」「台所用洗剤で洗車したらすごく汚れが良く落ちた」などのコメントも見かけます。果たしてクルマ用と家庭用、本当に同じものでしょうか。

 今回は、洗車用品や革クリーナー、芳香剤や消臭剤など、クルマ用と家庭用の違いについて調べてみました。なかには絶対にクルマに使ってはダメなものもあるので要注意です。

クルマ用として販売されている消臭剤
クルマ用として販売されている消臭剤

 消臭剤や芳香剤などでクルマ用も家庭用も展開している日用品メーカーで、長年にわたって研究開発を担当してきた研究員の人に、詳しい話を伺いました。

――クルマ用と家庭用では、何が違いますか。

 クルマ用と明記されたものは、クルマに使うことはもちろん、『クルマのなかに保管して使う』ことも想定して開発されています。

そこで、クルマ用と家庭用で芳香剤や消臭剤を比較すると、もっとも異なることは温度についての対策です。

 日本の夏は非常に厚く、炎天下の車内は70度にも80度になることがあります。一方、冬は氷点下10度20度以下になる地域もあります。

 家ではまずそこまでの温度差は生じません。クルマ用は液剤などの成分が違うのはもちろん、容器も熱に強く衝撃や振動に強いことや変形しないことも考慮されます。そして、クルマの内装などに影響を及ばさないことを第一に開発されています。

――容器が丈夫であることのほかに成分も違いますか。

 はい、違います。容器に関しても耐久性があります。

 また、クルマは住居よりも太陽光が差し込む機会が多い環境です。透明の容器に入った液体に太陽光が差し込むと、それによってレンズ効果がでてしまうと、火災などの危険も考えられます。

 そうならないように、容器の設計や素材には最新の注意をはらっています。

 成分に関しても温度が高くなると揮散が激しくなります。

 消臭剤や芳香剤として使える期間(業界ではライフと呼びます)が短くなるのを防ぐために、温度変化が大きくても効果が変わらないような仕様として開発し、揮散を最小限にとどめるため容器も小さ目になっているのです。

 同じ製品でも家庭用は2か月持っても、クルマ用は夏場ですと3日から7日でなくなることがあります。

 さらに、高温になると危険度もあがります。燃えることはめったにありませんが、アルコール分の高い製品の場合、危険度が高まることもあります。

――洗車に台所用洗剤を使っても良いでしょうか。

 たとえばカーシャンプーを切らしていて、仕方なく台所用洗剤を使うなど、1、2回であれば問題ないでしょう。しかし、何度も使うのは絶対にやめたほうがいいですよ。

 洗剤はどんな汚れを落とすのか、汚れの種類ごとに処方が異なっています。台所用洗剤は主に油脂類(食用油脂)をキレイに落とすことが目的ですから、やはり、成分ももっとも油脂が落ちやすい配合になっています。

 食品の汚れをおとすなら、「クルマに使っても問題ないのでは?」と思われそうですが、じつはまったく違っています、油汚れを落とす界面活性剤の強い成分はクルマのボディや塗装、樹種やゴム類に多大な影響を与えることがあります。

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