若者の「MT車離れ」が加速!? 新たに免許を取得する人が「AT限定」を選ぶワケ
女性で普通免許は少数!? 男性も半分はAT限定で取得
実際の教習所でのAT限定免許コースの人気について、都内にある教習所の教官 K氏に聞いてみました。
「2020年は新型コロナウイルスによる外出自粛で一時休校があって変則的ではありましたが、現在では3分の2以上がAT限定免許コースを受講しています。
男女比は地域や各教習所によって違うかもしれないですが、男性は半分程度がMT車も運転できる普通免許コースを選択するのに対し、女性でMTまでという人は非常に少なくなりました」

自動車教習所でもAT限定免許コースのほうがMT車を使用する普通免許コースより費用が安く、技能単位(実習)においてもMT車は「34」のところ、AT限定は「31」と少ないので、取得しやすさから女性を中心に人気があるようです。
――金額的には多少の差があるものの、AT限定免許の技能単位(実習)が31と少ないのも大きなポイントなのでしょうか。
「教習生に話を聞いた印象では、やはりMTの操作自体が難しいと感じる人が多かったです。
慣れないクラッチ操作やシフトチェンジしながらのステアリング操作が大変らしく、とくにエンストに対する恐怖から解放されるのもATを選ぶ大きな理由だと聞いています」
――昔は「就職に有利だから」だけでなく「モテたいから」などといった動機もあり、とにかく早く免許を取得してクルマを運転したい人が多かったのですが、現在ではどうなのでしょうか。
「現在でも、運転免許があると就職に有利という部分はあります。ただ明らかに違ってきているのは、自分のクルマを所有したいと考えている教習生が減っていることです。
また、以前と違いスポーツカーもATで乗れる時代ですので、MTを駆使して運転を楽しみたいという人は非常に少なくなりました。
AT限定免許を取得する人は自宅にあるクルマがATだからとか、とりあえず身分証代わりにという教習生が増えているようです」
やはり実際に販売されているクルマのほとんどがATという現在、レアなMT車に乗りたいと考える運転好きな人は減少しているようです。
今回は日常生活でクルマがなくても問題が少ない東京都の教習所の話でしたが、生活の必需品としてクルマが必要な地域ではまた違う状況かもしれません。
「あとは、最近増えている震災などの自然災害の影響でしょうか、MT車だと運転できる人が限られることもあり、AT車を選ぶ人もいるようです。
昨今ではミニバンやSUVが人気ですが、スポーティに走る目的のMT車より、気軽に乗れるATに人気が集中していることが、AT限定免許を取得する人が増えた原因かもしれません」(K教官)
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巷に出回っているクルマのほとんどがATとなっている現在、あえて難しいMT操作をしたくない気持ちもわかります。
ただ、2輪車の場合は、スクーターや一部車種を除きほとんどがMTであり、クルマでMTの操作方法を学んでおくと理解しやすい部分もあります。
また生粋のスポーツカーではやはりMTのほうが操る喜びが大きいと感じる人が多いため、一部車種ではまだまだ健在です。さらに、SUVやコンパクトカーでも、MT車の設定を増やす自動車メーカーもあります。
ちなみに、AT限定免許を取得したあとでも、MTも操作可能な普通免許を取得し直すコースが教習所に用意されています。
AT限定で免許を取得したけれどMT車に乗ってみたいと興味のある人は、チャレンジしてみてもいいかもしれません。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

























