若者の「MT車離れ」が加速!? 新たに免許を取得する人が「AT限定」を選ぶワケ
「若者のクルマ離れ」が叫ばれてからずいぶん経ちますが、クルマを所有する若者は少ないものの、新たに免許を取得する人は大勢います。そしてAT限定免許を取得する人が年々増加しているというのですが、それはなぜなのでしょうか。
市販車の98%がAT車!「AT限定免許」を選ぶ人が年々増加
「最近の若者はクルマに興味がない」という話は、もう10年以上前からいわれています。
確かに若者でマイカーを所有している人は多くはありませんが、それでも運転免許を新規で取得される人は大勢います。

そして現在では「AT限定免許」を選ぶ人が年々増加しているというのですが、その傾向はさらに多くなると推測されています。
なぜ新規免許取得者は、AT限定免許を選ぶことが多くなったのでしょうか。
警察庁「運転免許統計」による新規免許取得者数の推移を見てみると、2019年の普通免許の取得数は、全国で160万5386人でした。
そのうちAT限定は109万4648人と、全体の約68.2%を占めています。つまり3人中2人はAT限定免許を取得していることになります。
一方で、日本市場での新車販売の98%がAT車というデータもあります。それだけ免許を取得したあとMT車に触れる機会が少ないということを表しており、多くのユーザーがAT限定免許を選ぶのも納得できます。
ちなみに、AT普及率はアメリカと日本が高く、欧州はMT率が高いといわれていますが、もともとヨーロッパではクルマは移動手段という意識が強く、日本やアメリカほど頻繁にクルマを買い換えないといいます。
古いAT車は駆動力の伝達効率がMT車より劣る部分もあったため、MT車のほうが多かったとされていますが、最近ではAT車の伝達効率の向上や「DCT」などクラッチレスで気軽に乗れるAT車も増えており、以前ほどではないようです。
AT技術は、アメリカを中心に1940年代から実用化されて普及しました。アメリカは国土が広く、燃料費も安いため大排気量でのロングドライブが主流だった社会背景もあり、ひんぱんにギアチェンジをしないで済むATが普及したのです。
しかし、狭い国土の日本でAT車が普及した理由は、アメリカとは違います。
日本でATの普及率が高い理由は、「慢性的に発生する渋滞」によるものといわれています。
1950年代半ばから1970年代前半までのいわゆる「高度経済成長期」に伴って爆発的にマイカーが増加。都市部での慢性的な渋滞だけでなく、年末年始などの帰省や行楽シーズンでは高速道路上に数十kmに渡る大渋滞が発生します。
そこで、低速でも壊れない信頼性とともにギアチェンジの操作が不要なATが普及したのです。
現在ではAT技術自体が進化し、MTと遜色ない伝達効率を実現するどころか、MTモードなどは通常のMTを凌駕するレスポンスも向上しました。
そんな技術の発達もあり、MTは運転する楽しみのための装備以外では必要性がなくなってしまったといえるでしょう。
ほとんどがAT車状態の日本で運転する以上、わざわざ乗らないMTの運転を学ぶ必要がないことから、AT限定免許で十分となるのも納得できます。

























