「何が変わった?」 錯覚すら覚える驚きの進化 マツダ「CX-5」の凄さとは
マツダの人気SUV「CX-5」が2020年12月3日に商品改良されました。見た目では違いが分からない部分を違いが分かる男、そして改良前のCX-5を所有している自動車ジャーナリストの工藤貴宏氏がその魅力を解説します。
変わった部分は、乗った人のみぞ知る?
見えるところで変わったのはセンターディスプレイ(ナビ画面)だけ。
マツダのSUV「CX-5」がマイナーチェンジで進化しましたが、その変更内容は見た目よりも中身を重視したものでした。
具体的にはディーゼル車は出力を向上し、またガソリン車も含めてAT車はエンジンとトランスミッションの制御技術をアップデートすることでアクセル操作に対する応答性をより高め、加速時にドライバーの意図に応じた軽快な加速を実現。
ガソリン車ではSPORTモードでエンジン応答の改善と巡行時のエンジン回転を下げる制御を組みこんでいるだといい、マツダは「『走る歓び』の進化を図った」と説明します。
最新型を見分けることができる唯一の部分は、センターディスプレイ。従来は8インチでしたが、新型は8.8インチもしくは10.25インチへ大型化したのです。
同時に画面そのものだけでなくハードウェア含めてインフォテイメント系のシステムを総入れ替えし、表示なども含めて「マツダ3」や「CX-30」と同じ世代にバージョンアップ。
通信ユニットも組み込まれ、マツダコネクテッドサービスに対応したコネクテッドカーになりました。
ただし、タッチパネル操作ができなくなったことは意見が分かれるかもしれません。
今回の試乗車はディーゼル車。マツダ自慢の2.2リッターディーゼルエンジンの最高出力とその発生回転は従来190馬力/4500rpmだったのが、新型では200馬力/4000rpmとなりました。
その変化が体感できるかどうかは、従来型オーナーである筆者(工藤貴宏)も気になるところです。
一般的には、エンジン出力の5%の違いを感じ取るのはレーシングドライバーのように感覚を磨いた人でないと難しいといえるでしょう。
しかし結論からいえば、違いはしっかりとわかりました。とくに違いが分かりやすいのが停止状態など低い速度から加速したときです。
CX-5のディーゼルエンジンは従来モデルから、最大450Nm(2000回転で発生)という太いトルクを発生するおかげで低回転域の力強さが特徴。
だから発進時の「グググッ」と前へ進む感覚は強いのですが、その後3000回転を超えるとパワーの伸びが緩やかになってしまうことで減速Gが絞られ、速度が高まる感覚が鈍くなります。
アクセルの踏み方は一定でもまずグッと前へ出た後にスーッと加速が緩む感覚がありました。
これは他社も含めてディーゼル車にはありがちなことで、低回転域で強力なトルクを発生する特性ゆえのフィーリングです。
しかし新型で驚いたのは、その“加速の緩む感覚”が感じにくくなっていたこと。その理由は、最高出力アップというよりはトルク&パワー特性の変化です。
新型では4000rpm付近へ向かってトルクをアップ。
従来は急速に立ち上がった後に3000rpm付近から伸びが緩やかになっていた出力曲線でした。
いっぽうで新型は4000rpmまで低回転域からの勢いを維持するようになったのです。
だから、3000rpmを超えても加速感が維持されるフィーリングとなったのでした。
この違いがドライバビリティに与える影響は大きく、「ディーゼルだから仕方がない」と諦めていた従来型オーナーとしては、「うらやましい」というのが正直なところです。
同じ1UZエンジンのセルシオと初代マジェスタが正しくそれ、初めてマジェスタのCタイプに乗った時はセルシオどころか2JZを積んだ同じマジェスタBタイプより加速が渋い印象、勿論CX-5と同じオルガン式ペダルでしたが、しかし慣れると妙に重いアクセルは正しく1UZのトルク特性を生かしたセッティングだったと今でも思うけど、マツダさん上手いことTOYOTA芸をマスターしましたねw