「何が変わった?」 錯覚すら覚える驚きの進化 マツダ「CX-5」の凄さとは
「ふふふ…それは錯覚なんだよ!」 驚きの変化ポイントとは
いっぽうで、走行中のアクセルの踏み増しや中間加速などは「唐突さがなく滑らかになったのだけど、パンチがなくなった」という印象。
アクセル操作に対するエンジンの反応がおとなしくなったように感じられたのです。
そこに関しては「従来型のほうがグッとくる力強さがあって楽しい。新型はあまりうらやましくない」と従来型オーナーとして安心しました。
しかし、試乗後に自身の印象を伝えたうえで開発者に話を聞くと、ニコニコしながら「それは錯覚なんですよ」といいうではないですか。
ポイントはアクセルペダルに施した変更。反力を作るバネのレートをアップし、従来よりも少し重くしたというのです。その結果、アクセル操作の精度が上がり、パンチが感じにくくなったというのです。
開発エンジニアは次のように解説しています。
「アクセルペダルを操作するときには足の筋肉が動きますが、その際に重要なのは腹筋や首の筋肉など姿勢を保とうとする筋肉の動きとの同調です。
アクセルが軽いと足の筋肉だけで動かすので、全身の筋肉が踏ん張らずにアクセル操作がラフになりやすい。
そこで、アクセルを踏む足の筋肉と姿勢を保つ筋肉が上手に同調するようにアクセルペダルの重さを設定することで、精度よくアクセルをコントロールできるようになりました。
細かいアクセル操作がしやすいのです。その結果、ドライバーは自然と滑らかなアクセル操作になるのです」
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また、「大きなトルク・加速度を操っている印象とアクセルの操作感を一致させるのも目的。そしてブレーキペダルの反力の重さにアクセルペダルの重さを近づけることで、踏みかえる際のリズム感もつかみやすくなる」といいます。
つまり、アクセル操作に対してエンジンの反応がスムーズになったと感じられたのは、錯覚だったのです。
エンジン制御によって変化したのではなく、アクセルの重さを変えたことでドライバーがペダル操作を滑らかにおこなうようになった結果でした。
アクセル踏力や反力の違いが生んだ変化をまるでクルマの制御が変わっているかのように感じてしまったのは、正直なところ個人的には悔しいと同時に修行不足を痛感したところですが、アクセルの重さの違いだけでこれだけ加速のフィーリングが変わるというのは新しい発見でした。
ちなみにこの「重いアクセル」は、ディーゼル車だけの採用で、ガソリン車のアクセルペダルは従来通りです。
その理由について開発エンジニアは「ディーゼルに比べてトルクの少ないガソリン車にこのペダルをつけると、ペダルの重さと加速度の印象に少しギャップが生じてしまうからです」と説明します。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
同じ1UZエンジンのセルシオと初代マジェスタが正しくそれ、初めてマジェスタのCタイプに乗った時はセルシオどころか2JZを積んだ同じマジェスタBタイプより加速が渋い印象、勿論CX-5と同じオルガン式ペダルでしたが、しかし慣れると妙に重いアクセルは正しく1UZのトルク特性を生かしたセッティングだったと今でも思うけど、マツダさん上手いことTOYOTA芸をマスターしましたねw