90年前のクルマだけど新車! ベントレー「ブロワー」が完成
英国のクラシックカー再生のスペシャリストたち
ブロワー・コンティニュエーション・シリーズは、ベントレーマリナーの「クラシック」部門が顧客のために手がけた初めてのプロジェクトである。マリナーにはそのほかに、特別限定車「バカラル」を製作した「コーチビルド」部門とコンチネンタルGTマリナーを製作する「コレクション」部門がある。
カーゼロの製作は、オリジナルブロワー4台の製造時に使用された設計図や下書き、当時撮影された写真を徹底的に分析することからスタートした。次に取りかかったのがベントレーが所有するブロワー2号車の分解である。フレームとパーツをレーザースキャンし、その精密なデータを基に、CADによる完璧なデジタルモデルを完成させた。
ベントレーマリナーは今回のプロジェクト当初から、パーツ製作を外部に依頼することを計画しており、何世代にもわたって伝統的技術を継承している英国きってのスペシャリストらの協力を得ている。
シャシは、イスラエル・ニュートン&サンズ社が極厚鋼板を手作業で成形し、熱間によるリベット留めによって完成。同社はダービーのほど近くに拠点を置き、蒸気機関車のボイラーやトラクションエンジンの製作を手掛けてきた創業200年の歴史ある会社で、伝統的工法による金属の鍛造・成形加工を得意としている。
ブロワーの主要パーツのいくつかを忠実に再現したのは、ビスターヘリテージに拠点を置くビンテージ・カー・ラジエター・カンパニーだ。鏡面仕上げが施されたニッケルシルバー地金製ラジエターシェルや、スチールと銅板を打ち出し成形したフューエルタンクなどを担当している。この会社はビンテージカーのラジエターやコンポーネントの製作・復元におけるトップメーカーであり、最高レベルのクラフトマンシップとオーセンティシティを誇っている。
リーフスプリングとシャックルは、ウェストミッドランズにあるジョーンズ・スプリング社のオリジナル仕様だ。鍛冶屋をルーツとし、75年近い歴史を持つ会社である。
ブロワーのシンボルであるヘッドライトは、シェフィールドにあるビンテージ・ヘッドランプ・レストレーション・インターナショナル社によって再現された。親子経営のこの会社は銀細工で知られ、オリジナルの仕様にしたがってビンテージデザインのヘッドランプを製作するその技術は、世界的に高い評価を得ている。
アッシュフレームはラドローにあるロマックス・コーチビルダーズ社が製作し、クルーのマリナートリムショップにて、職人らが最終仕上げを施した。ブロワーのボディは、25メートルに及ぶ人工皮革のレキシン(Rexine)で覆われており、ボディの内装はマリナーの名匠の手によって仕上げられた。
カーゼロのグロスブラックのエクステリアに、ブリッジ・オブ・ウィアー社製のオックスブラッドと呼ばれる赤いレザーと、それにマッチした内装は実に見事な組み合わせだ。オリジナルのブロワーと同じく、シートの中身には計10kgもの天然馬毛が使用されている。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。