90年前のクルマだけど新車! ベントレー「ブロワー」が完成

北京−パリ間を想定しておこなわれるテスト

 カーゼロのエンジンは、W.O.ベントレー自らが設計した4.5リッターで、今回はワトフォードにあるNDR社などの協力を得て新たに製作されることになった。

エンジンにはアルミニウムピストン、オーバーヘッドカムシャフト、4バルブ、ツインスパークイグニッションなど、1970年代のスポーツカーエンジンもうらやむような革新的技術が数多く採用されている
エンジンにはアルミニウムピストン、オーバーヘッドカムシャフト、4バルブ、ツインスパークイグニッションなど、1970年代のスポーツカーエンジンもうらやむような革新的技術が数多く採用されている

 このエンジンにはアルミニウムピストン、オーバーヘッドカムシャフト、4バルブ、ツインスパークイグニッションなど、1970年代のスポーツカーエンジンもうらやむような革新的技術が数多く採用されている。

 アムハースト・ヴィリヤースの設計によるルーツ式スーパーチャージャーも新たに機械加工され、搭載されている。今回製作されたエンジンは、1920年代後半にバーキン卿のレースチームのために製作された4台のブロワーのエンジンを忠実に再現したもので、クランクケースにマグネシウムが使用されている。

 このエンジンの組立と並行し、100年近く前に設計されたエンジンをテストできるよう、クルー本社にあるエンジンテストベッドが改造されている。このエンジンテスト設備は、1938年の工場建設時からベントレーに存在していたもので、第二次世界大戦中には航空機用エンジン「マーリンV12」の試運転やパワーテストに使われた設備だ。ちなみにマーリンV12は「スピットファイヤ」や「ハリケーン」といった戦闘機に搭載されたエンジンだ。

 コンピューター制御のエンジンダイナモメーターに取り付けられるように、まずはブロワーのフロントシャシのレプリカが作成され、そのレプリカにエンジンが格納された。

 さらに、ベントレーのエンジニアがエンジンをモニターし、正確なパラメーターでエンジンを作動できるようにするため、エンジンの測定と制御に使う新しいソフトウェアの作成とその動作確認もおこなわれた。

 ブロワーのパワートレインは、現在のベントレーに搭載されているエンジンとはサイズも形状もまったく異なるため、再現されたエンジンをテストベットに取り付ける際には、マーリンエンジンのテスト用としてベントレーに保管されていた当時の取付具も多数活用されたほどだった。

 そして完成したエンジンは、車両に搭載される前に、テストスケジュールにしたがって試運転がおこなわれている。

 カーゼロは今後、耐久試験に入る予定だ。走行時間と走行速度を徐々に増やしながら、より厳しい条件下で機能性と耐久性を確認していくことになる。

 このテストプログラムは、8000kmのトラック走行を含め、計3万5000kmの走行を想定している。これは、北京・パリモーターチャレンジやミッレミリアなどのクラシックカーラリーでの走行を想定しているためだ。

 さらに、最高速での走行試験も予定されており、そのドライバーの最有力候補としてエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOの名前が挙がっている。

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Writer: VAGUE編集部

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