小型車の勢力図変わる? トヨタに挑むスズキ、年末商戦が下剋上のきっかけなるか

近年、コンパクトハイトワゴンのトヨタ「ルーミー」が販売台数ランキングにおいて、上位を維持しています。そうしたなかで、ライバルとなるスズキの新型「ソリオ/ソリオバンディット」がフルモデルチェンジされました。コンパクトハイトワゴン市場において、その勢力図に変化は出るのでしょうか。

数値上ではソリオがやや優勢も、立ちはだかるルーミー人気

 スズキは、2020年12月4日に新型「ソリオ/ソリオバンディット」をフルモデルチェンジして発売しました。
 
 コンパクトハイトワゴンではトヨタ「ルーミー」がもっとも売れていますが、今回のフルモデルチェンジでその勢力図にはどのような影響があるのでしょうか。

左:トヨタ「ルーミー カスタム」/右:スズキ「ソリオバンディット」
左:トヨタ「ルーミー カスタム」/右:スズキ「ソリオバンディット」

 今回のフルモデルチェンジでソリオは4代目となりますが、3代目は好調といえる販売を記録していました。

 普通車新車販売台数ランキングをみると、2020年の4月から9月では17位(1万6542台)となっており、スズキの普通車でトップの売れ行きです。

 しかし、コンパクトハイトワゴンというジャンルでは、トヨタ「ルーミー」という大きなライバルが立ち塞がっています。

 同ランキングにおいて、ルーミーは6位(3万4276台)と、倍以上の差がついています。

 では、新型ソリオの登場は、ルーミーとの勢力図にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

 新型ソリオは、先代から引き続き標準モデルの「ソリオ」とカスタム仕様の「ソリオバンディット」の2モデルで構成されます。

 ボディサイズでは、全長3790mm×全幅1645mm×全高1745mmとなり、従来モデルから全長が+80mm(ソリオバンディットは70mm)拡大され、広い荷室と居住空間を両立。

 荷室床面長は先代から100mm拡大され、35リッターサイズのスーツケースを5個積載しても、ゆとりある後席スペースを実現しています。

 今回のソリオでは、スズキの小型車初というものがいくつかあり、その例として挙げられるのが安全装備「スズキセーフティサポート」においてのカラーヘッドアップディスプレイと、後席の空調効率がアップする「スリムサーキュレーター」の採用です。

 一方のルーミーは、ダイハツ「トール」のOEM車として、2016年に現行モデルが登場しています。

 2020年9月にはマイナーチェンジがおこなわれ、兄弟車の「タンク」が廃止。タンクのフロントフェイスはルーミーのグレードのひとつに組み込まれました。

 ボディサイズは、全長3700-3705mm×全幅1670mm×全高1735mmと、全幅は新型ソリオよりも上回っています。

 しかし、室内では、新型ソリオは室内長2500mm×室内幅1420mm×室内高1365mm。

 ルーミーが室内長2180mm×室内幅1480mm×室内高1355mmとなり、室内幅はルーミーのほうが60mm広いものの、室内長は全長を延長した新型ソリオのほうが320mmも上回っています。

 安全装備では、「スマートアシスト」が採用され、ソリオ同様に全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールを搭載。

 ですが、新型ソリオのセールスポイントであるヘッドアップディスプレイや後席のサーキュレーターは非搭載であり、差が生まれています。

 そして、このわずかな装備の違いは、売れ行きにも影響を与えるのではないかといわれています。

 新型ソリオに対するユーザーの反応について、スズキの販売店スタッフは次のように話します。

「近年人気のあるアダプディブクルーズコントロールはもちろんですが、ヘッドアップディスプレイへの反応がかなり良いです。

 少し前までは高級車だけに備わったハイテク機能というイメージだったからか、標準装備であることを伝えると、お客さまのテンションが上がっていくのが伝わってきます。

 また、燃費性能でもソリオはライバル車よりも一歩リードしています。それでいて、価格はライバル車よりもやや安くなっています。

 これらの差は、ひとつひとつは小さいものの、組み合わされば販売に大きな影響を与えるのではないでしょうか」

【画像】マジ、悩む! ルーミー&ソリオどっちが良いの?(23枚)

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