「ガバッ」と開いて間口が広々! 個性的すぎる「観音開き」のクルマ5選

コンパクトカーにこそ最適な観音開きドア

●ミニ「クラブマン」(R55)

 日本で人気の輸入コンパクトカーで代表格とも言えるのが「MINI」ブランド。

 イギリスのローバー社が開発した「ミニ」をコンセプトに、BMWが手がける現代版として蘇ったのは2001年のことです。

テールゲートが観音開きのミニ「クラブマン」
テールゲートが観音開きのミニ「クラブマン」

 3ドアハッチバックを基本にさまざまなボディバリエーションを展開していくのも、ミニならではの特徴です。

 2006年のフルモデルチェンジで徐々にプレミアム化を目指していたミニですが、当時人気だったステーションワゴンの使い勝手をプラスさせたボディバリエーションとして登場したのが「クラブマン」です。

 面白いのは、基本的な3ドアでありながら、狩猟用に荷室を延長させた「シューティングブレーク」というクーペワゴンのようなスタイルを継承するとともに、テールゲートを跳ね上げ式ではなく、左右分割の観音開きとしていることです。

 広いラゲッジスペース実現のために全長が240mm延長されましたが、それでも全長3937mm×全幅1683mm×全高1426mmというコンパクトさを実現。後席の足元も80mmの余裕が生まれています。

 エンジンは、120馬力の1.6リッター直列4気筒エンジンと高性能版の「クーパーSクラブマン」には175馬力の同ターボエンジンを搭載。

 駆動方式はFFのみですが、ATだけでなく6速MTも用意されています。

 クラブマンはテールゲートに観音開きドアを採用。高さを気にしないでラゲッジへのアクセスが可能になるなど日常での使い勝手も優秀です。

 1人で乗っても家族で乗ってもさまになる、ファッション上級者のようなミニといえます。

●フィアット「500 3+1」

 かつては走行中に進行方向とは逆にドアが開いてしまうことから「スーサイドドア(自殺用ドア)」の異名まで与えられた観音開きドアですが、技術が進歩した現代でも個性を演出する手法として採用されるケースがあります。

 2020年にフィアット「500」のフルモデルチェンジが発表されましたが、新型モデルでは完全なEVに進化することになりました。

 そして、個性的な500をさらに個性的にする手法として、3ドアに1枚ドアをプラスする「3+1」というボディタイプを発表。

 新型500は、3ドア、カブリオに加え、「3+1」という3種類のバリエーションを用意。2021年にデビューする予定です。

 ボディサイズは全長3630mm×全幅1690mm×全高1530mmで、現行型と比較して前後左右に60mmずつ、上方向に40mm大きくなりますが、ボディサイズを守ったままで「3+1」を実現させています。

 注目度が高い「3+1」ですが、1957年に登場した2代目500で採用されていたスーサイドドアをモチーフに、片側のみに小型の観音開きドアを搭載することで、全体のシルエットを維持。

 重量増もわずか30kgに抑えつつ、ピラーレスの大きな開口部を実現させました。

 パワーユニットは、118馬力を発揮する電気モーターと42kWhのリチウムイオンバッテリーの組み合わせで、航続可能距離を320km(WLPT値)となります。

 ドライブモードは、「ノーマル」、回生ブレーキの効きを最大化させる「レンジ」、次の充電ポイントまでたどり着けるように走行以外の装備の電力を減らす省エネ走行の「シェルパ」という3種類を標準搭載。

 さらに急速充電器にも対応し、80%の充電までの所要時間を35分に、走行距離50km分の電力はわずか5分で充電できるようになっています。

※ ※ ※

 観音開きドアは、強度の問題や走行中にドアが開かないような対策が施されていれば、見た目のインパクト以上に、実用性に寄与する装備であるともいえます。

 高齢化社会においては、クルマの乗降性も大切なポイントになってきます。今後は、さまざまなモデルに観音開きドアが採用されることになるかもしれません。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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