なぜトンネル照明が変わった? オレンジから「白」が定番に 高速誕生から半世紀の変化とは
かつて、高速道路のトンネルで使用されていた照明はオレンジ色が定番でした。しかし最近では白色の照明が用いられたトンネルが増えています。なぜオレンジから白に照明の色が変わっているのでしょうか。また、最近見かける機会の多い一定間隔で点滅する青色LEDの正体とはなんなのでしょうか。
トンネルの照明といえばオレンジ色だった
かつて、高速道路のトンネルで使用されていた照明はオレンジ色が定番でした。夜間走行中にトンネルに入ると一気に視界が変化するため、印象に残っているかもしれません。
しかし、最近では白色の照明が用いられたトンネルが増えています。なぜオレンジから白に照明の色が変わっているのでしょうか。
日本の交通の大動脈ともいえる東名高速道路は、2019年に全線開通から50年を迎えました。
そのほかの高速道路や自動車専用道路も、開通から多くの年月が経過していることもあり、近年リフレッシュ工事が頻繁におこなわれています。
また、現在も新たな路線や区間が将来の開通を目指して、新しく建設されています。
そうした工事の後の照明には、白色の照明が採用されるケースが増えているといいます。
以前まで、高速道路上の側道やトンネル内の照明の多くにオレンジ色が採用されていることが多かったですが、白色に変化している背景にはどのような理由があるのでしょうか。
しかし、新しく建設されたトンネルやリフレッシュ工事後の側道照明には、白色の照明が増えています。
これまでトンネルをオレンジに照らしていた照明には、ナトリウムランプというものが使用されていました。
このナトリウムランプは、街灯などに使用されていた水銀灯と比べて、消費電力が半分から3分の1程度と経済的だったといいます。
さらに、ナトリウムランプの寿命が長いという特徴があったため、24時間点灯し続けなければならない高速道路などのトンネル内に用いられていました。
また、NEXCO中日本によればナトリウムランプは、排気ガスなどで空気が汚れたトンネル内部でも視認性が高く、虫を引き寄せない特徴もあるといいます。
そのため、1960年代から1999年頃まで、高速道路のトンネルを照らす照明として採用され続けましたが、2000年代に入ると、トンネルを照らす照明の色が次第に変化していきます。
代替えとして次に登場した「蛍光ランプ」は青みがかった色が特徴で、消費電力はナトリウムランプと同程度ですが、ランプの耐用年数が30%ほど長いといいます。
そして、最近では蛍光ランプに代わり一般家庭でも普及しているLEDをトンネルなどでも採用しているケースが増えているといいます。
LEDはナトリウムランプや蛍光ランプより消費電力が少ないことや、色の視認性が良いことが特徴です。
高速道路における、照明の変化について、NEXCO東日本は、次のように説明します。
「照明の変化には、製品自体の向上以外にクルマの性能向上も関わっています。
照明が変わり始めた2000年頃には、クルマの排気ガスが1960年代から1970年代に比べて綺麗になり、橙色のナトリウムランプでなくても、不都合はあまり生じなくなりました。
また、光がオレンジ色の場合、赤系統の車両が見にくくなる欠点もありましたが、蛍光ランプは自然光に近いので、どんな色の車両に対しても視認性が良くなったのです。
いまでもドライバーの視覚がトンネル内部の明るさに慣れない一部の出入口には、ナトリウムランプが使われています。
また、視覚に関する話として、現在でもオレンジ色の照明を使っているトンネルなどでは、設置されている消火栓に蛍光色の赤色を塗装することで、オレンジ色の光のなかでも赤色に見えるように工夫しています」
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現在は物体の色が自然に見えるだけでなく、ナトリウムランプよりさらに消費電力が少なく、寿命が長いという理由からLEDが採用されているようです。
オレンジだと眠くなって来る