BMW初代M3は2.3Lでも900万円! エムスリーはまだまだ価格上昇中!!
この10年間で、かなりの台数が日本から海外へと流出してしまったBMW E30型M3。その理由は、日本より海外の方が先にE30型M3の価値が上がったためだが、それを証明する最新オークション情報をレポートしよう。
FIA公認パーツでラリーカーに仕立てたM3は1400万円!
2020年9月に発表され、キドニーグリルの大きさから賛否両論を巻き起こしたBMW「M4」。その始祖は1985年に登場した初代「M3」だ。
このM3の第5世代に、2ドアのクーペモデルをM4、4ドアのセダンモデルをM3という名称で呼ぶようになった。
初代M3(E30型)は、当時のドイツツーリングカー選手権などのレースに参戦するために作られた、ホモロゲーションモデルである。
●1987 BMW「M3 FIAターマック ラリカー」
レース車両のホモロゲーションモデルであるので、通常の3シリーズとは様々な部分で異なっているのが特徴だ。
たとえばボディでは、ボンネットとルーフ、ドアのインナーパネルは3シリーズの2ドアモデルと共通だが、キャビン部分は空力特性の面からピラーの角度が異なり、トランクもハイデッキとなっている。
サスペンションもジオメトリーが違っているほか、ハブはPCD100の4穴ではなく、120の5穴を採用。これはブレーキキャリパーと同じく、E28型5シリーズの部品を流用したものである。
大きく膨らんだブリスターフェンダーもそうだが、ひと目でM3とわかるそのスタイルは、誰もが憧れたものだった。
エンジンも専用のものが搭載されている。E30型M3のS14型エンジンは、「635CSi」や「M1」に搭載されていたM88型3.5リッター直列6気筒ドライサンプエンジンから、2気筒を外して2.3リッター直列4気筒としたものだ。
トランスミッションはゲトラグ製の5速、または左手前に1速があるレーシングパターンの5速が搭載されていた。
このM3は本来、グルーブA規定でおこなわれていたツーリングカーやラリーに出場するための、ホモロゲーションを得るためにつくられたものだ。そして実際、DTM(ドイツツーリングカー選手権)やラリーで数多くの勝利を得ている。
日本においても、トヨタ「スープラ」や日産「スカイラインGTーR」、三菱「スタリオン」、フォード「シエラ」などが覇を競っていた全日本ツーリング選手権の、2.5リッター以下となるクラス2で、M3はワンメイクといっていい速さを誇っていた。
そんなE30型M3が、シルバーストーンオークションに登場した。それも3台である。もともとこの3台は、セットでも出品されていたようだが、落札はそれぞれにおこなわれた。
まず1台目は、ターマックラリーをターゲットに新たに製作されたM3ラリーカーだ。
2016年1月、状態のいいロードカーをベースに開発をスタート。ホワイトボディ状態からボディ補強が施され、かつてプロドライブ・ラリーチームのマネージャーであったポール・ハワース氏のアドバイスを受けてラリー仕様として製作されている。
エンジンは282bhpまでパワーアップされ、サムソナスFIAの6速ミッションが搭載されている。
完成した後はラリーに出場し、2017年と2019年のラリーマジョルカのレジェンドイベントでは、総合優勝を勝ち取っている。
こうした経歴を持ったこの個体の落札価格は、10万1250ポンド(邦貨換算約1400万円)であった。1985年のM3の新車価格は、日本では658万円。イギリスでは2万6000ポンド(当時1ポンド=約300円で計算すると約780万円)であったことを踏まえると、およそ2倍の価格である。
ロードカーであった個体からラリー仕様に仕立てた1台であるが、現代でも使用できるFIA公認グループAパーツがふんだんに使われていることを考えれば、妥当といえるプライスなのかもしれない。
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