眩しくても強制点灯!? 薄暮時に早めのライト点灯を義務化する理由
夕暮れ時や薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯するオートライト機能が2020年4月から販売される新型車に義務化されています。いままでもヘッドライトスイッチには「オート機能」がついていましたが、わざわざ義務化する理由は何なのでしょうか。
ヘッドライトの自動点灯機能で交通事故減少に期待
夕暮れ時や薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯する「オートライト機能」ですが、2020年4月以降に販売される新型車への搭載が義務化されました。
オートライト機能とは、クルマに搭載されるセンサーが周囲の明るさを検知して、自動的にヘッドライトの点灯をしてくれる機能です。
それまでのヘッドライトでも自動でヘッドライトのオン/オフをしてくれる「オート」機能はありましたが、新しい道路運送車両の保安基準が改正され、明確な基準で法整備され義務化され、継続生産車のオートライトは2021年10月から義務化されます。
また、定員11人以上のバスなどの乗用車や、車両総重量3.5t超のトラックは、新型車が2021年4月から、継続生産車が2023年10月からとなっています。
では、オートライト機能がなぜ義務化されたのでしょうか。
もともとは、日中でも薄暗い時間帯にヘッドライトを点灯することで、対向車や歩行者などの視認性が高まるだけでなく、自車の存在を周囲にアピールするために「早期のヘッドライト点灯」の優位性が議論されていました。
一説には、ヨーロッパの地形や日照に関係して「早期のヘッドライト点灯」が広まったといわれています。
自動車先進国が多いヨーロッパですが、緯度が日本よりも高く、日陰が多いうえに薄暗い時間が長いのです。
そこでまずは「デイタイム・ランニング・ランプ」が2011年にヨーロッパで義務化されました。
これは、日中でも前方からの視認性を向上させるためのランプで、日本の保安基準でも2016年に「昼間走行灯」として明記されるようになっています。
ただし、ヘッドライトを点灯しなくても比較的前方を明るく照らすデイタイム・ランニング・ランプだけで走行するクルマが急増。
リアのテールランプとは連動していないため、後続車からの視認性の低さから、テールランプも連動したオートライト機能が2015年1月からヨーロッパで義務化されています。
その頃日本でも、「交通政策審議会」と呼ばれる有識者の会合で「薄暗いなかでのヘッドライトの点灯」の優位性と交通事故の抑制の可能性が議論され、国土交通省主導で法整備化が進みました。
これには交通事故が発生しやすい時間帯が大きく影響しています。
警察庁交通局が発表した「交通事故の発生状況」によると、事故発生の72.7%が昼間、27.3%が夜間となっており、一見昼間の事故のほうが多いのですが、死亡事故率は夜間のほうが昼間の2.7倍も高い結果が出ています。
時間帯別では「16時から18時」が高く、とくに歩行者をも巻き込んだ交通事故では20%以上の確率になるなど、夕暮れどきの事故が非常に多いことがわかります。
これは、周囲の暗さに対してヘッドライト点灯が徹底されていなかったため、高齢者が被害者となるケースも多かったことも大きな影響を与えたようです。
そこでヨーロッパで義務化されたオートライト機能の重要性が日本でも高まったのです。結果こそまだ出ていないものの、オートライト機能は交通事故数の減少に役立つことが期待されています。
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