ベントレー「フライングスパー」の最新技術の洗練度は最高レベル!

秋は旧車のオフ会をはじめとするイベントが目白押し。10月半ばに開催された「浅間サンデーミーティング」に、ベントレー「フライングスパー」で参加したモータージャーナリスト金子浩久氏が、道中で体感したフライングスパーの最新技術をレポートする。

ベントレーは、オーダーするときから楽しみが始まっている

 新しくなったフライングスパーを間近にすると、先代モデルよりもさらに堂々とした姿に圧倒される。ホイールベースが130mm伸ばされ、フロントアクスルが前方に移動したことによって、躍動的な印象を醸し出している。前から見ても横から見ても、ひと目で第3世代となったことがわかる。

●静粛性の高いロボタイズドAT

3世代目の「フライングスパー」には最新の運転支援機能が盛り込まれ、狙い通りに機能していたことに唸らされた(撮影:神村聖)
3世代目の「フライングスパー」には最新の運転支援機能が盛り込まれ、狙い通りに機能していたことに唸らされた(撮影:神村聖)

 クロームメッキされた縦のルーバーの輝きが強調されているように見えて、フロントグリルが存在感を強く主張しているのも、その理由のひとつかもしれない。

 そして、車内は紛れもないベントレーの世界が展開されている。一瞥しただけで素材の上質さを窺わさせる革やウッドなどがふんだんに用いられていて、もし自分が注文する時にはどんな素材や色、仕様などを選ぼうかと妄想しただけでワクワクしてしまう。

 ボディカラーだけで88色、内装色は5色だが、最近では革やウッドだけでなくインドの渓谷で切り出された石材まで極く薄く切り出されて内装材に用いられていて、その組み合わせは5000通り以上にも上るというから驚きだ。

 ヨーロッパでは、ベントレーを新車で購入する人の約8割はイギリス・クルーの本社工場まで出掛け、ボディカラーから内装まですべての仕様をじっくりと選びながら決めていく。つまり、それだけ選択肢が豊富に用意されていて、自分だけの1台を誂えていくのが一般的だ。ベントレーのようなクルマは、納車される前から楽しみが始まっているのだ。

 都内の雑踏に走り出すと、635psの最高出力と900Nmもの最大トルクを発生する6.0リッターW型12気筒ツインターボエンジンが微かにハミングしながら、フライングスパーを滑らかに加速させていく。このエンジンも初代フライングスパーや「コンチネンタルGT」などの新世代のベントレーに搭載されて以来、熟成を重ねてきている。

 それに組み合わされるトランスミッションが一新されたのが新機軸だ。先代までのオーソドックスなトルクコンバーター式ATから、ツインクラッチ式のDCTとなった。

 DCTは「ロボタイズドAT」と呼ばれるように、マニュアル・トランスミッションをメカニカルに変速させ、それを電子制御でコントロールする。レーシングカーから拡がっていったものだから、変速時間の速さやダイレクトな感触を活かしたスポーティなクルマを中心に採用されていたのだが、フライングスパーのような、静粛性や快適性が高いレベルで要求される超高級車にも用いられるようになった。

 ツインクラッチ式の弱点は変速の際にギクシャクしたような感触とそれに伴うノイズの発生だが、新型フライングスパーからはそれらはまったく感じることがなかった。都内の混雑気味の路上では、2速と3速で変速を繰り返しているのに、弱点が見受けられなかったのはさすがだ。

●状況を確認しやすいドライバーインターフェイス

 高速道路に乗って、一路、軽井沢を目指す。すでに陽が暮れていて、夜間の長距離ドライブとなったが、それを大いにサポートしてくれたのが運転支援機能(ドライバーアシスト)だった。

 メーターパネル内のデジタル表示が、大きなドライバーアシストの表示に切り替わる。フライングスパーと先行車を模したイラストの左右に道路上の車線を模したラインが現れ、カメラとレーダーで車線を捕捉している証しとして、それがグリーンに点灯する。

 ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)とLKAS(レーンキープアシスト)機能を働かさせるために、ステアリングホイール裏の左下にある専用レバーを操作する。ロジック、操作方法ともにわかりやすく、すぐに飲み込めた。

 フライングスパーのドライバーアシストは「渋滞アシスト」機能も付いた最新のものだ。レバーで最高速度と前車との車間距離を設定し、ステアリングホイールの右スポーク上のボタンを押して有効化される。

 ただし、何らかの理由によって先行車を捕捉できていなければACCの機能を使うことが出来ないし、車線を捕捉できていなければLKASを働かさせることもできない。

 走行中に、それらがちゃんと機能しているかどうかを確かめるのには表示を確認するしかないから、表示は大きく見やすく、わかりやすくなければならない。新型フライングスパーは申し分ない。たとえ、スピードメーターとタコメーターの中間部分にドライバーアシスト画面を選ばず、他の表示を利用していたとしても、右側のタコメーター下部にも小さく表示されるから安心だ。タコメーターの代わりにナビゲーションの地図画面を表示させていたとしても、それは変わらないから万全だ。

 大きく見やすく、わかりやすい。現在の運転支援機能は、「レベル2」と呼ばれる基準内にあるために、クルマに任せ切ってしまうのではなく、ドライバーが運転を執り行なっていなければならないから、これらの表示がとても大切になってくる。

 運転支援機能を備えていても、表示が小さくわかりにくいものもまだまだ少なくはない。職業柄、新型車を試乗した際に運転支援機能はすべて試すことにしているが、この新型フライングスパーのドライバーインターフェイスが最も優れているもののひとつだ。

【画像】ベントレー「フライングスパー」で楽しんだ浅間サンデーミーティング(19枚)

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