レクサスやアキュラのライバル! 高級車ブランド「ジェネシス」って何?
なぜ必要? 日本メーカーのプレミアムブランドの歴史とは
そもそも、ある程度の大きな規模に育った自動車メーカー、自動車グループは、そのほとんどが自社グループ内にプレミアム・ブランドを擁する。GMであればキャデラック、フォードではリンカーン、トヨタでいえばレクサス、日産でいえばインフィニティ、そしてホンダであればアキュラだ。
なんといってもプレミアム・ブランドは、ビジネス面での旨味が大きい。とある新興国の大衆車メーカーの販売の現場では「ユーザーが金持ちになると、他ブランドに逃げてしまう。もっと高いクルマを売りたい」という声を聞いたことがある。
つまり、プレミアム・ブランドには良い顧客が集まるのだ。
また、単に儲けが大きいだけでなく、メーカー全体のブランド力をアップしてくれる点も見逃せない。ブランド力というのはメーカーにとってはとても重要なもので、同じ内容であればブランド力の高い方が売れるし、逆に値段が高くなってもそれはブランド料として認められる。安売り競争に巻き込まれないための切り札になるのもブランド力だ。
さらにいえば、メーカー内の技術的な熟成を発揮する先としてもプレミアム・ブランドの役割はあるだろう。最先端技術というのは、大概の場合、最初は高額で、プレミアム・ブランドでしか使えないモノが多いのだ。メーカー内にプレミアム・ブランドがあれば、そこから採用することもできる。これもメリットのひとつだろう。
そうした背景で生まれたのが、日本メーカーの3つのプレミアム・ブランドだ。
レクサスは、トヨタの高級ブランドとして1989年に誕生した。目的は、アメリカの地で大衆車としてしか見てもらえぬトヨタ車をプレミアムカーとして販売するためだ。
第一弾モデルであるLS(日本名・セルシオ)を携えたレクサスの挑戦は、大成功を納める。その静粛性の高さは、先達のプレミアム・ブランドにも驚きを持って見られたというのだ。いまでは北米だけでなく、欧州やアジア諸国、日本、中近東など世界各国で76万台以上が販売されている。
インフィニティは、レクサスと同じ1989年にブランドが誕生している。最初のモデルは4.5リッターV8エンジンを搭載した「Q45」だった。このモデル自体はヒットしなかったが、時間をかけてインフィニティはアメリカの地に根づいてゆく。2012年にはインフィニティ・ブランドの本部を香港に移転。アジア発のプレミアム・ブランドとして、北米だけでなく中国などで存在感を放っている。
アキュラの誕生は1986年のこと。つまりレクサスやイニンフィニティに先駆けて、アメリカでのプレミアム・ブランド展開を開始している。最初に発売されたのは「レジェンド」と「インテグラ」であったが、発売早々から人気を集め、すぐにアキュラはアメリカの地で市民権を得ることに成功している。
ホンダは、日本メーカーとしてはもっとも早い1982年にアメリカでの生産を開始しており、かの地での先行する経験が新ブランド成功の糧となったのだろう。その後、1990年には初代「NSX」をアキュラブランドから発売。現行の2代目NSXも当然、アキュラのトップモデルとして発売されている。
ちなみに、日系メーカー以外でも新たなプレミアム・ブランド創生の動きはある。その代表格のひとつが、PSAグループのDSだろう。また、ルノーが復活させたスポーツカー・ブランドであるアルピーヌも一種のプレミアムだ。
世界には、このようにまだまだプレミアムを狙う新たなブランドが生まれているのだ。
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