ポルシェ911は、役物でも限定モデルをねらうべし!

ポルシェ「911」は「役物」が人気だが、そのなかでもターボであり後輪駆動の「GT2」は、もっとも人気が高いグレードのひとつだ。そこで、中古車市場でもすこしこなれた感のある6代目「997型」のGT2が、世界のオークションでどれくらいの評価をされているのかを検証してみよう。

新車価格から1000万円ほどお安くなった「911GT2」

 世のなかには、他人と同じ商品には興味を持たないカスタマーが多数いる。たとえ姿カタチがほとんど変わることがなくても、他人の眼にはその違いが分からなくても、その特別な商品に備わる価値を認め、当然のことながら高価なプライスを気にすることもなく支払う。

 それがある意味高級ブランドの世界ともいえるのだ。

●2008 ポルシェ「911GT2」(997型)

2008年式のポルシェ「911GT2」に付けられたエスティメートは、15万−18万スイスフラン(C)Bonhams 2001-2020
2008年式のポルシェ「911GT2」に付けられたエスティメートは、15万−18万スイスフラン(C)Bonhams 2001-2020

 さて、ここでは先日ボナムスが開催したオークション、「ザ・ボンモント・セール」に出品された特別な2台のポルシェをクローズアップしてみよう。まずは9月20日にスイスのチェシェレックスでおこなわれたザ・ボンモント・セールに出品された「911」からである。

 一見フロントバンパーとボンネットカバーの間にエアインテークが設けられ、リアには巨大なリアウイングが装着されただけの997型911にも見えるが、これこそが997シリーズでハイエンドモデルの一翼を担った「911GT2」だ。

 メカニズム面での大きな特徴は、専用開発の3.6リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンで、最高出力は「911ターボ」に対して50ps増の530psまでアップしている。

 この50psのエクストラが得られた理由は、911ターボよりも大きな容量のターボチャージャーの採用にある。可変タービンジオメトリーを用いることは911ターボと同じだが、一方で最大過給圧は1.0バールから約1.4バールと0.4バールも高められた。

 ノッキング対策としてはエクスパンションインテークと呼ばれる新技術も採用されている。

 見る方向によっては過激にも、また意外におとなしくも感じるボディは、もちろん空力的にさらに洗練されている。空気抵抗係数は0.32におさえられ、最高速度は329km/hを記録した。このGT2を購入した多くの者は、300km/hの壁に挑戦したにちがいない。

 2008年モデルのこのGT2は、納車以来のすべてのドキュメントを備えるほか、コンディションも素晴らしくよい。なぜならこれまでワンオーナーで、わずかに800kmしか走行していないからだ。まさに奇跡の一台と呼ぶに相応しい出品車といえるだろう。

 オークションの結果は、15万−18万スイスフランというエスティメートに対して、13万9285スイスフランで落札。これは邦貨に換算して、約1615万円という数字になる。もちろん日本に上陸し、日本の道を走るまでには、まだまださまざまな経費が必要になるのだが、特別な911を探す人には今後も気になる存在といえる。

【画像】ポルシェ「911GT2」と「911GT2 RS」を見比べる(26枚)

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